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SUBARU IMPREZA WRX STI A-Line × ENGINE


夕暮れの街にたたずむA-Line
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夕暮れの街にたたずむA-Line。街の灯りにサテンホワイト・パールのボディ・カラー(3万1500円高)が映える。HIDプロジェクターロービームランプ、フォグランプは標準装備。



エレガンスとスパルタン!


300馬力のパワーで楽しむワインディング。
大排気量エンジンのような分厚いトルクでエレガントに走る初夏の街。
まるでジキルとハイドのような2面を持ったA-Line。今回は、実業家であり、
自動車エンスージアストでもある山野エミールさんと、A-Lineのジキルとハイドを楽しんだ。



文=塩澤則浩(ENGINE編集部) 写真=山下亮一


悪くない
 霞が関インターから首都高速道路に入るとインプレッサWRX STI A-Lineのステアリングを握る山野エミールさんは、アクセレレーターを一気に踏み込んだ。もちろんSI-DRIVE(電子制御スロットルとエンジンコントロールユニット、トランスミッションコントロールユニットを統合コントロールする)のモードは、もっともスポーティなS#だ。
 それまで、闘いにそなえて呼吸を整えていたかのように静かにドラミングしていたフラット・フォーが、ここぞとばかりに炸裂した。A-Lineの2.5リッター・ターボは、5000rpmを超えると音質が変わりはじめ、力強い太鼓の連打は6000rpmから先で弾けるように高みに上りつめる。
「悪くない」
A-Lineに乗り込もうとする山野さん
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A-Lineに乗り込もうとする山野さん。山野さんいわく「欧州車のようなプレスラインだ」というエクステリア・デザインはWRX STIの専用である。
 首都高速に入るまで無言だった山野さんが、このときはじめて口を開いた。「悪くない」というのは、慎重にものごとを吟味して肯定したときの、山野さん独特の言い回しだ。
 ヤマノ アンド アソシエイツというマーケティング会社の代表取締役会長を務める山野さんの仕事のなかで、「吟味」と「肯定」は大事な要素だ。本当にいいモノでないと扱えないし、納得した上でないと扱わない。いきおい吟味も厳しいものになる。たとえば、銀座に出店した「サンタ・マリア・ノヴェッラ」は、イタリア、フィレンツェにある800年もの歴史を持つ世界最古の薬局だが、プロダクトすべてが天然のハーブのみを使ってできていることは、よく知られている。もちろんこれも厳しい吟味、納得した上での出店だ。 納得したら、あとはいかにそのことに打ち込むか。これは仕事も遊びも同じだ、と山野さんはいう。
A-Lineのステアリングを握る山野さん
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A-Lineのステアリングを握る山野さん。ステアリングを握ったときの感触は高評価。マニュアル派を自認する山野さんのギア・チェンジは、マニュアル・モードでパドルを使う。
 そんな山野さんを象徴するようなエピソードがある。アジアパシフィック・ラリー選手権(アジパシ)への挑戦がそれだ。 『エンジン』で世界ラリー選手権(WRC)の記事を読んだ山野さんは、60歳でアジパシの「ラリー北海道」に出場することを決意する。クルマは「日本を代表するラリーカーがいい」と、スバル・インプレッサを選んだ。先代のWRX STIスペックCを自ら購入し、いちからグループN仕様のラリーカーを作り上げ、『エンジン』とコラボレーションしたチームで出場したのが06年のことだ。
 自ら「病気だ」というほどクルマが好きで、イタリアのミッレ・ミリアにも何度も出場していた山野さんだが、スピードを競う、しかもグラベル(未舗装)のラリーははじめて。 福島のダート・コースや北海道の林道にまで足を運んで、何度も練習を重ねた。
銀座に出店した「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の店内は、フィレンツェの本店を模した内装になっている
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銀座に出店した「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の店内は、フィレンツェの本店を模した内装になっている。調度類にいたるまで細かい配慮が行き届いている。
 そして本番では、3回のタイヤ・バーストを喫して一旦はリタイヤするが、スーパーラリー(アジパシの規定による復活制度)で再スタートし、みごとに最後まで走り切る。 「必要なのは情熱。そして無我夢中になること。60歳でラリーやろうなんて、他人からみたらバカみたいでしょ。でも、クルマに対する情熱を持ち続けることは、僕のエクスキューズになっていて、働く意欲になってる」
 何ごとにも一生懸命な、山野さんらしいことばだ。
カー・ナンバー39のチーム・ジ・エンジンのスペックC
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1日目の最終SS目前でストップしたエンジン号
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06年、アジアパシフィック・ラリー選手権「ラリー北海道」に出場したカー・ナンバー39のチーム・ジ・エンジンのスペックC。ドライバーは山野さん、コドライバーは加勢直樹さん。(写真=小池宣夫)
1日目の最終SS目前でストップしたエンジン号。バースト3回。スペアタイヤを使いきり万事休す。写真は救援隊が運んだテンパータイヤを装着している様子。(写真=小池宣夫)
FRに乗ってる感じ
 首都高を走りながら、コーナーのたびにパドルでシフト・ダウンする。山野さんはマニュアル派だから、AT車にはめずらしい、ブーツを奢ったシフト・ノブはマニュアル・モードの位置に入れっぱなしだ。5段のギアすべて。シフト・アップもシフト・ダウンもパドルを使って手動で行う。 「ステアリングを握ったときの感触がいいね。掌にしっくりくる。あと、ステアリングが軽い。それこそFRに乗ってる感じ。よく曲がるし、コーナーを貼りつくように走る。このエンジンの音を聞いてると、なんだかラリー北海道を思い出すね。もちろんラリーカーの方がずっとスパルタンだけど、街で乗ったらこれで十分スパルタンだね。足は硬いけど、しっとりしていて、嫌な硬さじゃない。乗り心地も通じるところがあるような気がする。ラリーカーと」
A-Lineに乗った山野さんが驚いたのは、視界の良さだ
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A-Lineに乗った山野さんが驚いたのは、視界の良さだ。先代と比べて格段に低くなったエア・インテークが視界確保に貢献している。
 よくストロークするように設計されているラリーカーのサスペンションは、低速ではゴツゴツするが、速度が上がると未舗装なのに信じられないくらいフラットになる。実際にラリー北海道で経験している山野さんには、それがよく分かっていて、A-Lineのフラット・ライド感が似ていると言ったわけだ。
 山野さんによれば、A-Lineはジキルとハイドだという。ギアはオートマチックで、SI-DRIVEをインテリジェント・モードにして大排気量エンジンのようなたっぷりしたトルクで走るときはジキル博士。S#とマニュアル・モードでその気になったときはハイド氏。エレガントにゆっくり街を流すこともできれば、ひとたび鞭をいれればスパルタンな走りもできる。そこが面白いと山野さんはいう。
「僕のクルマの好みは、どちらかというと両極端。大排気量、大パワーが好きだし、小排気量、小パワーをめいっぱい頑張って走らせるのも好き。でもA-Lineに乗ってみて、街中をインテリジェント・モードで、ギアをオートマチック・モードに入れっぱなしでゆっくり初夏の街を走ってみると、これもありかなと。たとえば、女性が乗るならこっちの方がエレガントでいい。価格的にもこっちの時代のような気がする。でも、時にはS#で思い切り走らせたい。情熱的だし、夢中になれる。情熱がなくなったときの自分を想像してみてください。つまらないでしょ」
 山野さんは、クルマも仕事も、そして人生も、めいっぱい楽しんでいる。
 
LEDのリア・ランプが印象的なA-Lineのリアスタイル
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LEDのリア・ランプが印象的なA-Lineのリアスタイル。6MTとA-Lineの違いは、外観からはほとんどわからない。
最大トルクは35.7kgm/2800-6000rpm
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全長×全幅×全高は4415×1795×1475mm
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2.5リッター・ターボの最高出力は、300ps/6200rpm、最大トルクは35.7kgm/2800-6000rpm。迫力のあるボクサー・サウンドを響かせる。(写真=小野一秋)
全長×全幅×全高は4415×1795×1475mm。ホイールベースは2625mm。ブレンボ製のベンチレーテッド・ディスクブレーキはメーカー装着オプション。(写真=小野一秋)
タイヤ・サイズは245/40R18で、BSポテンザRE050Aを履く
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タイヤ・サイズは245/40R18で、BSポテンザRE050Aを履く。標準装着は18インチ鋳造アルミホイールだが、試乗車はオプションのBBS製鍛造アルミホイールが装着されている。
 
 
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バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。