若い頃から、本物を愛した男 |
パテック フィリップと伝説のジェントルマン 若い頃から、本物を愛した男 語り=牧山圭男 まとめ=菅原 茂 写真=岡村昌宏(時計) 菅野 健(人物)
大正時代にケンブリッジ大学への留学経験をもち、戦後日本の復興期に政財界で活躍した白洲次郎は、英国仕込みのジェントルマンとして、服装から身のまわりの物すべてが一流品だったという伝説の人物だ。 次郎の娘婿、牧山圭男さんが語る。「義父は“人は身なり”ということを心得ていました。服装についても常に何をどう着こなすべきか、筋の通った考えを持っていました。そのかっこ良さは、やはり憧れでしたね」 洋服は、ロンドンのサビルロウ仕立て。馴染みの店は、格式高いテーラーとして知られるヘンリー・プールで、フォーマルはもちろん、ツィード・ジャケットなどカジュアルな装いまでもが美しかったという。
そして、紳士からこの時計が、「時計の中の本物」だと教えられる。後に某氏は、彼が白洲次郎だったことを知った。この逸話について牧山さんは、現物がないので確認できないとしながらも、ありうる話だと語る。
「なにしろ義父には、引力がありました。一流の品物の方から寄ってくることがしばしばありました」 牧山さんによれば、実際にこんなエピソードがあったという。 「ドイツと取引をしている英国の友人が日本で商売を始める際に、義父が手伝ったそうです。で、友人が御礼をしたいと言った。義父は、カネはいらないが、どうしてもというならポルシェの1台でも寄こせ。そうしたら本当に送ってきた。高性能で優美な1968年型の“ナローポルシェ”と呼ばれる911Sでした」 このポルシェと同様、先述の氏が見たというパテック フィリップもまた、次郎に引き寄せられ、彼の腕に嵌められて、居心地の良い時を刻んでいたに違いない。次世代が学ぶべき姿がここにある。 カラトラバ Ref.5227
シンプルでピュアな造形によって究極のエレガンスを体現する「カラトラバ」。代々受け継がれるにふさわしいタイムレスな逸品だ。自動巻き。ホワイトゴールド、ケース直径39mm、3気圧防水。税別379万円。オニキスにカラトラバ・マークをあしらったホワイトゴールドのカフリンクスは税別62万円。 |
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