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円熟期を迎えたポルシェ・マカンの魅力を再検証する。


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運転席から見える景色は着座位置が高いことを除けば、スポーツカーのそれと変わらない。アイポイントが高いため、視界はとてもいい。

街中ではポルシェ随一
 バー・タイプのドア・ハンドルを開け、マカンの運転席に収まる。まず目に入ってくるのはこれまたポルシェ独特の大径の丸型デザインを継承するメーターだ。
 最新の技術を取り入れることで車速や水温や油温だけでなくナビゲーションの地図なども表示できるようになったけれど、一番大きなエンジン回転計を中央に据えているのはマカンでも変わらない。このメーターが目の前にあるだけで「ポルシェに乗っているんだ」という高揚感が得られる。ステアリング・コラムではなくインパネにイグニッション・キーを差し込めば、ポルシェを堪能する準備は万端だ。
 シフト・セレクターで"D"を選び、右足に力を込める。初めて乗った993型と比べると操作力こそ軽くなっているものの、アクセレレーターとタイヤが直結しているようなダイレクトな感覚はマカンでも変わらない。
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ポルシェの象徴である丸型メーター。右側は液晶パネルになったが、中央のエンジン回転計と左の車速計は指針式を踏襲する。
 遅れることはもとより、運転者の想定以上に過敏な反応をすることもない。右足の動きに忠実に加減速をする。これはエンジンのセッティングもさることながら、デュアルクラッチ式7段自動MTのPDKによるところも大きいだろう。PDKは走行モードを"スポーツ"や"スポーツ・プラス"にすれば、右足の動きに合わせて的確に変速してくれるので、自動変速機にありがちなルーズさは感じられない。もちろん、ステアリングの裏側に備わる変速用のパドルを操作すればMTと同じダイレクト感が得られる。

 今回試乗したのは、ダウンサイジング・エンジンの2.0ℓ直4ターボを搭載する"マカン"だったが、市街地をはじめ、高速道路や山道でもポルシェの名に相応しい速さを持つ。アウトバーンを200km/hオーバーで駆け抜けたいというなら、3.0V6ターボの"マカンS"や3.6V6ターボの"マカン・ターボ"が必要かもしれないが、あいにくその速度域が楽しめる道路環境が存在しない日本では素の"マカン"で十分。高出力エンジンにこだわらないのであれば、"マカンS"より150万円ほど安い"マカン"を選び、その分、オプションで自分好みの1台に仕上げるという手もある。ちなみにポルシェ生誕70周年を記念して、6月末まで0.70%の低金利キャンペーン(http://www.porsche.co.jp/yourmacan/070campaign/)が行われており、通常の2.90%よりも支払額をかなり抑えることができる。浮いた分で好きなホイールに変更するというのも悪くないだろう。
 緻密さやダイレクト感はハンドリングでも得られる。ステアリングに対するクルマの動きはアクセレレーター同様、運転手の操作に忠実。狙ったラインをしっかりとトレースできるのは911や718系と変わらない。スポーツカーのようにスイスイと曲がる。
 さらに直4を積む"マカン"はV6搭載モデルよりも鼻先が軽く、前後のバランスも一層いいので、ハンドリングではV6モデルを凌駕すると言っても過言ではない。
 ノーズの軽さは山道だけでなく市街地でも有効で、アイポイントの高さがもたらす視界の良さやカイエンよりも200mm短い5ナンバー・サイズに収まるコンパクトな全長と相まって、街中での取り回しの良さはポルシェ随一だ。
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空調をはじめ、操作系のほとんどをセンター・コンソールに集約している。機能性もさることながら、デザイン性も高い。

 取材車はオプションの20インチ・タイヤが装着されていたが、同じくオプションとなる可変式ダンパーを備えたPASMのおかげもあって、乗り心地も快適。もちろん、さらに快適性を追求したいならタイヤを標準サイズの18インチのままにするか、もしくはエア・サスペンションにするという手もある。
 マカンは、ポルシェの源流と言える911と比べると駆動方式もエンジンの形式も違うし、そもそもSUVと純スポーツカーでクルマのカテゴリー自体が大きく異なる。しかし、この緻密でダイレクトな走り味はまさにポルシェそのもの。それ以外の何物でもなく、「同じ血が流れているんだな」ということがありありと伝わってくる。まさにカエルの子はカエルなのだ。


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  • ポルシェ・マカン
  • 駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
  • 全長×全幅×全高 4,680×1,925×1,625mm
  • ホイールベース 2,805mm
  • トレッド 前/後 1,655 / 1,650mm
  • 車両重量 1,830kg(前1,000kg/後830kg)
  • エンジン形式 直列4気筒DOHC16V直噴ターボ過給
  • 総排気量 1,984cc
  • ボア×ストローク 82.5×92.8mm
  • 最高出力 252ps / 5,000-6,800rpm
  • 最大トルク 37.7kgm / 1,600-4,500rpm
  • 変速機 デュアルクラッチ式7段自動MT
  • サスペンション形式 前後 マルチリンク
  • ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
  • タイヤ 前/後 235/60R18W/255/55R18W
  • 車両価格(税込) 699万円





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