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映画「ダンケルク」


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第2次世界大戦で実際にあった連合軍兵士40万人の救出劇を、クリストファー・ノーラン監督が映画化。世界中が驚嘆した、凄まじいまでの映像世界を体験する。
文=永野正雄(本誌)

 『ダークナイト』や『インターステラー』など、近未来を舞台にした圧倒的なスケールの作品で多くのファンを持つクリストファー・ノーラン監督。その彼が新作の題材に選んだのは、イギリスで“ダンケルクの奇跡”として語り継がれる第2次世界大戦中の救出劇。ノーラン監督が手掛けた初の実話である。
 世界大戦の勃発から8カ月が経過した1940年5月。英仏連合軍の約40万人の兵士たちは、フランス北端の港町ダンケルクで、絶体絶命の危機に晒されていた。陸上ではナチス・ドイツ軍に包囲され、空からは戦闘機からの爆撃が続く。そして背後にあるのは逃げ場のない海である。だが時の英国首相チャーチルの決断が、孤立した兵士たちの運命を変える。軍艦のみならず、ドーバー海峡にいる民間の漁船やボートにも大号令をかけ、兵士たちを救出に迎え、と命じたのである……。
 人々の善意や愛国心に訴えかける物語は、それだけで十分映画的だ。だがノーラン監督のアプローチはより斬新で、その構成もユニークだ。
 『ダンケルク』に登場するのは、陸海空に分かれた3つの視点。浜辺で敵の攻撃を受けながら、脱出を試みる兵士たち、兵士たちの救助にボートで向かう民間の親子と友人、そして上空で敵の戦闘機と戦いながら、眼下の兵士たちを守ろうとするパイロットの視点である。3つの独立した視点は、目まぐるしく切り替わり、時に交差しながら、ひとつの大きな物語を形づくっていく。
 また本作には、いわゆる芝居のための台詞がほとんどない。聞こえてくるのは生身の兵士たちの自然な会話や叫び声だ。その徹底したリアリズムが、異様なまでの臨場感を作品に与えているのである。
 1時間46分に凝縮された本作の物語に、鑑賞するという言葉は似合わない。これは77年前に起きた歴史的な事件を間近で目撃する映画なのだ。アメリカでは早くも今年度のNo.1作品との呼び声が挙がっているが、『ダンケルク』の激烈な映像体験は、その期待を裏切ることはないだろう。
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映画『ダンケルク』の撮影は、1940年に実際に兵士たちが取り残された浜辺で撮影された。防波堤の形を当時の姿に戻すなど、その作業は困難を極めた。また本物にこだわるクリストファー・ノーラン監督は、イギリス空軍の戦闘機スピットファイア3機を確保。実際に、俳優の頭上で飛ばし、彼らを大いに驚かせたという。『ダンケルク』106分。9月9日より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他全国ロードショー。配給:ワーナー・ブラザース映画
 
 
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