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オープン・スポーツカーのある日常について


50号車 日産 フェアレディZ ロードスター
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50号車 NISSAN FAIRLADY Z Roadster
新車価格 498万7500円
導入時期 2010年1月
走行距離 5500km



涼を求めて高原へ。気持ちイイっ。


この暑い夏はいったいいつまで続くのか?
夏バテ気味の担当者は、ある日、はたと思いついたのだった
文=齋藤浩之(本誌) 写真=望月浩彦



 ミンミンゼミとアブラゼミの暑苦しい大合唱が来る日も来る日も続く。涼しくなることなど永遠にないのではないかと思いたくなるほどだ。
 長く寒い冬がいつまでも居座り続け、心おどる春はいつ来るのかしらと思っていたら、いきなり夏がやってきて、東京では、真夜中にさえ、水銀灯に狂ったセミが鳴いている。
 熱い。照りつける太陽はそれこそ容赦がない。これじゃオープンして走ることなどできないではないか。  と、欲求不満を溜めこんでいたある日、あっ! と気づいた。涼しいところへ行けばいいのだ。
 せっかくだから、撮影もしてもらおう。望月さんにお願いして、真夜中の2時に東京を出発した。夏休み真っ只中の渋滞に巻き込まれたのでは、それこそ趣旨が台無しになってしまうからだ。Zロードスターのヘッド・ライトが照らす中央高速は空いていた。時節がら、がらがらではなかったけれど、家族を乗せたミニバンの数はまだ少なかった。
 大月で河口湖線へと折れ、富士山を目指すようにして登り続ける。小排気量のクルマでは思いのほか低い速度で早々にサチュレートしてしまうきつい勾配も、Zロードスターの前には平坦路のようにしか思えない。湛えているパワーが違う。3.7リッターユニットの高い出力を引き出すまでもなく、中速回転域の力強いトルクを使って6速のまま、Zは流れの中を泳いでいく。いざという時にもシフト・ダウンの必要を感じない。余裕たっぷりだ。ほんの20年ほど前までなら、ひとにぎりの高級スポーツカーにしか求めえなかった力がそこにはある。クルマに乗って速く走りたいという欲望に、どこまでも応えてくれる。
シフト・ダウン時に自動で回転合わせをやってくれるシンクロ・レヴ・コントロールはとても便利
シフト・ダウン時に自動で回転合わせをやってくれるシンクロ・レヴ・コントロールはとても便利。右足を煽ってブリッピングしてやる必要がないだけでなく、自分ではとうてい無理だと思えるほどに上手い。
 エアコンの自動調整に任せたまま走り続けて河口湖まできて、ふと気づいて窓を開けると、涼しかった。都心から900mほども上がったのだから道理である。100mで1℃下がると、学校で習ったとおりだ。
 クルマを路肩へ停め、センター・コンソールのスイッチでソフト・トップを下ろすと、冷たく爽やかな空気が肌をなでる。気温17度。夜の帳は降りたままだ。そこから国道139号線で富士山の北側を回りこみ、朝霧高原を目指した。ドア・ウィンドウも下ろして走ると、風が次々とやってきて、身体を冷やしていく。シートに内蔵される送風ファンもこれならオフにしてしまえる。
 気持よく流れる国道を走り続け、目的地の高原が近づいてくると、朝霧とはよくいったものである、濃い霧が深い緑を包みこんでいた。
 東の空にようやく色が戻り始めてきた。と、辺りに立ち込めていた霧が、少しずつ力を失っていく。やがて、陽の光が差し込み始める。道がどんどん伸びていく。ほかにクルマは1台もいない。ギアを2段落として右足を深く踏み込むと、勇ましいV6サウンドが響き渡った。加速するZを追いかけるように排気音がピッチを上げる。髪を風が弄ぶ。
 気持ちイイっ! 真っ直ぐに伸びる高原の道を、どこまでもどこまでも加速していきたくなる。暑さも、セミの声も、何もかも忘れてしまう。
 秋になったら、こんどはもっと遠くへ出かけよう。

マッシブなフェンダーに収まる18インチ・タイヤがいい感じ
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マッシブなフェンダーに収まる18インチ・タイヤがいい感じ。足回りのフリクションがきれいに取れてきて、乗り心地は精度の高さが実感できる上質なものになった。車両価格の高さを納得させるものがある。


 
 
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