FIAT GRANDE PUNTO 1.4 16V SPORT
沈んだ色のコンクリート・ジャングルに情熱的な赤いボディが好対照だ。
全長×全幅×全高=4060×1685×1495mm、ホイールベース=2510mm、車重=1160kg、最高出力=95ps/6000rpm、最大トルク=12.7kgm/4500rpm。
新車価格 212万円
導入時期 2006年11月
走行距離 3万2943km
都会に似合うハッチバックだった
7777kmでクルマを受け取って、2年、
2万5000kmを共にした相棒。さよなら。
文=井上保昭(本誌) 写真=阿部昌也
フィアット・グランデ・プントは都会が似合うハッチバックだった。
ボディは、全長×全幅×全高=4060×1685×1495mmとコンパクトだから、ちょっとした車間や幅の狭い路地であっても臆せず入っていくことができるし、大人が4人乗れて、荷室には275リッターの容量がある。機能性の高い1台だった。
ジョルジェット・ジウジアーロとフィアット・スタイルセンターとの共作であるデザインは、丸みがあって人懐っこい感じとソリッドな雰囲気とが同居している。イタリア・ポスト・モダンの巨匠エットーレ・ソットサスによるオリヴェッティのタイプライターくらいお洒落で斬新なデザインで、2年の月日と2万5000kmあまりを共にし、飽きることがなかった。
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FIAT GRANDE PUNTO 1.4 16V SPORT
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1160kgという車重に比し、1.4リッター直4のエンジン・ユニットは物足りなさは否めないが、このクルマの場合、それは決してネガではないことにしばらくして気づいた。4000回転くらいまで引っ張っていくとスピード感がはっきりと伝わってくる。低回転でのもっさりとした印象が嘘のように心地良く、だから高回転域でのドライブが多くなった。また、走行距離が1万kmを超えたあたりからアタリがついたのか、エンジンの吹け上がりが格段に良くなった。本誌・齋藤記者によれば、「10年前なら、2万km走ってようやく吹け上がりの良さを実感できたものだけど」ということだから、熟成速度はずっとあがっている。これも嬉しい発見だった。トータル燃費は、11.9km/リッター。多くの時間を都会のアスファルトのうえで這いずり廻っていた割には良い数字だったとおもう。
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3ドア・ボディに1.4リッター直4DOHC16バルブ・エンジンと6速MTを組み合わせた「1.4 16Vスポーツ」。ステアリング上の親指を置く場所に凹みを入れるなど、随所にスポーティな演出が為される。退役1ヵ月ほど前に履き替えた「ブリヂストン・プレイズ」はすこぶる乗り心地がよい。一般道、高速道を問わず、高い直進安定性に目を見張るものがあった。