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先行投入された535iに続き、550iと528iが上陸した。


BMW 528i & 535i & 550i
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BMW 528i
●直6自然吸気3.0リッター
●258ps、715万円

BMW 550i
●V8ターボ過給4.4リッター
●407ps、1040万円

BMW 535i
●直6ターボ過給3.0リッター
●306ps、835万円



出揃った新型5シリーズのセダン、ベスト・モデルはいったいどれか?


ガソリン・エンジンの進化著しい最近のBMW。
新仕様のエンジンを積む新型5シリーズのベストはどれか。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋



 新型5シリーズ・サルーンのベストを探すのがこの稿の主題だ。先行して納車の始まっていた535iを追って、528iと550iがついに上陸したのである。どれがどうで、どこがどのように違うのか。その答えを出すときがきたのだ。


528iはエコカー減税対象

 ざっとかいつまんで各モデルの内容を紹介しておこう。
 528iは自然吸気3リッター・エンジンを搭載する仕様。最高出力258ps、最大トルク31.6kgmを発揮する直6には8段ATが組み合わされる。車両価格は715万円である。
 535iはターボ過給の3リッター直6を搭載する。306psと40.8kgm。これも8段ATと組み合わされる。価格は835万円へ跳ね上がる。
 550iはツイン・ターボ過給の4.4リッターV8ユニットを乗せるトップ・モデル。407psと61.2kgmを捻り出す。変速機は8AT。価格は大台超えの1040万円となる。
 注目すべきは528iである。というのも、これはBMWとしては初めて「エコカー減税対象車」となっているからだ。自動車取得税と重量税が50%減税され、減税合計は18万3200円となる。また、新車購入補助金も適用されるので、経年車の廃車を伴わない新車購入であれば10万円補助され、合わせて28万3200円となる。もし、登録から13年以上経った所有車の廃車を伴うのであれば、補助金は25万円となり、優遇措置の合計は43万3200円となる。535iとの実質的な価格差はさらに大きなものとなる。


自然吸気エンジンの楽しみ
 とりあえずお金の話を脇へ置くと、3者の最大の違いはエンジンだ。このエンジンの違いが、走らせたときにどのような違いを生むのか。興味はそこにある。
 新しい5シリーズは先代モデルより大型化していて、それに伴って車両重量も増している。例えばこのなかで一番軽い528iでも1770kgに達する。だから、自然吸気の3リッターでBMWらしい走りが堪能できるのだろうか? と危惧する向きもあるかもしれない。でも心配は無用。3リッター自然吸気エンジンとしてはかなりパワフルな特性と、細かくステップ・アップを刻む8段ATのおかげで、528iは軽々と走る。たとえそこが山道の登りであっても、大きなボディをまったく苦にしないで、颯爽と駆け上がる実力を備えている。
 1速から8速まで同じギア比の変速機を使う535iと比べて、最終減速比が10%低められ、全体にロー・ギアードなセッティングがなされているのが効いている。もとより多段変速機のおかげで、次のギアに上がったときの駆動力の落ち込みも少ないから、まるで4リッター級のエンジンを積んでいるかのように1.8t近いボディを引っ張り上げる。ほんの10年ほど前でも、こんな芸当ができる大型サルーンはなかった。
水平基調が貫かれた上品な室内
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水平基調が貫かれた上品な室内

新型5シリーズのダッシュボードは、センター操作パネルがドライバーに向けて傾けられた伝統のコックピット・スタイルに加えて、横一線のラインを使って水平基調が組み合わされ、スポーティであると同時に広々感もある、エレガントなものとなった。優しさを感じさせるエクステリアのデザインによく呼応した仕立てだ。
 その代わり、勢いよく走り回ろうとすれば、エンジン回転数はかなり上がることになるが、それがかえって好ましい印象を与える。528iに使われている自然吸気6気筒の感触が、とても気持ちいいのである。7000rpm近い回転域までヒュンヒュンと軽やかなサウンドを聞かせながらスムーズに回る。
 傍目にひんしゅくを買うような速度で走らなくても、それを味わえるのだから、これは積極的に528iの美点というべきだ。
 しかも、よくよく観察すると、この6気筒エンジンは、全回転域にわたって厚いトルクをつむぎ出している。6600rpmで最高出力を出すことから高回転型を連想したくなるけれど、吸・排気バルブの作用位相を連続的に変化させるBMWご自慢のダブルVANOSも効いて、低回転域でも豊かなトルクが出ている。だからこそ、穏やかに走っているときは多段ATがポンポンと高いギアへ上げていけるのだ。回さずに粛々と走ってよし、回してよしの優れたエンジンである。中間ギアで走っているときに踏み増すとトルクのツキが良く、いかにも活き活きとしていて好ましい。
BMW 528i & 535i & 550i

 感触が好ましいのは、これが使い慣れた機械構成で組み上げられたエンジンだからでもあると思う。ドイツ本国をはじめとする欧州市場で販売されている528i用の自然吸気3リッター・ユニットが燃焼室内燃料直接噴射型(圧縮比12:1)であるのに対して、日本市場用は、吸気管に燃料を噴くポート噴射型(圧縮比10.7:1)なのだ。最高出力や最大トルクは同じだけ確保されているからそこに性能差は生じずとも、感触の違いは確実に生んでいるはずだ。
 ひとつ確かに言えるのは、日本仕様528iに使われている3リッター・ストレート・シックスが、BMWに伝統となっている回す快感を存分に味わえるエンジンだということだ。シルキー・スムーズななかに爆発のツブツブがまろやかに溶け込んだビート感がたまらない。




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