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もう買えない!? 世界限定500台のアルファ・ロメオ8Cコンペティツィオーネ!!


アルファ・ロメオ8Cコンペティツィオーネ
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Alfa Romeo 8C Competizione



ロマンチックが止まらない。


60年代の華麗なるムードたっぷりのイタリアンGT、アルファ8Cコンペティツィオーネの国内デリバリーがようやく始まっている。2006年秋のパリ・サロンで発表され、その日から購入申し込み受け付けの始まった、世界限定500台のスペシャル・モデル。
フィアット・ジャパンが所有する真っ赤な宝石に試乗した本誌スタッフがその感激をリポートする。
文=今尾直樹(本誌) 写真=望月浩彦


かからない!

 赤い宝石に乗り込むと、そこは華麗なる男の浪漫の世界だった。キーをひねってセンター・コンソールの丸くて赤いエンジン・スタート・ボタンを押す。450psのフェラーリ製4.7リッターV8を目覚めさせるべく、スターター・モーターがキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルッと回る。現代のクルマだったら、即座にかかるのが常識だ。いつもよりよけいに回っている。なのに、かからない! 一瞬あせる。赤いボタンをさらに押す。押し続ける。大丈夫かぁ。と不安になりかかったころ、突然バフォンッ!! と文字通り爆裂音が炸裂。フロント・ミドに搭載される90度V8は目覚めるや、さらにグオンッ! とひと声吠え、そののちグッド・ヴァイブレーションを伴いながらアイドルを開始する。
 まるでキャブレターの高性能エンジンを目覚めさせた気分。キーONでジー、カチャカチャカチャという電磁ポンプの音が後ろから小さく聴こえてくる。アクセル・ペダルを2、3回奥まで踏んで、おもむろにキーをグイッと回す。セル・モーターがクククククッと回って、ブオンッと来たところでもってアクセルをタイミングよく踏み込む。そういう儀式が60年代の高性能GTではドライバーに求められた。「あ、うん」の呼吸。それを習得してはじめて機械が応えた。その旧き良き時代の人間と機械のやりとりをアルファ8Cコンペティツィオーネは自動演奏機みたいに演じてくれる。
アルファ・ロメオ8Cコンペティツィオーネ
 GTカーの演出にこんな手があったとは! なんたるエンスー! アルファ・ロメオは死なず! とエンジンをかけただけで、このクルマが好きになった。往年のTZや33ストラダーレ、あるいはカングーロをちょっと思わせる、レトロな衣装をまとった8Cは、単なるマゼラーティの着せ替え版では断じてなかった。私は誤解していた。2年前の東京モーターショー会場で見たときも、妙に大きく見えて、ちっともいいと思わなかった。違っていた。浪漫なんだよぉ。男の浪漫。60年代GT浪漫の21世紀的自動演奏マッキナだったのだ、アルファ8Cコンペティツィオーネは!
サウンド・オブ・チューニング

 私は8Cに東北自動車道の佐野SAから乗ったのだが、走り出すや、エンジン・サウンドのチューニングにシビれた。アルファV8は2000rpm台では低音でうなる程度。それが3000rpmに達すると1オクターブ上がり、7500rpmまでテノールで朗々と歌いあげる。音域が広い。アクセルを緩めると、バラバラバラバラッとGTマシンのバックファイアのような排気音が後方から巻き起こる。4.7リッターV8は、アクセル操作に応じて、いやそれ以上に感じちゃって、過敏かつ過激に反応し、歌い、絶叫し、嗚咽して、枕を涙で濡らす。いやぁ、困っちゃったなぁ。
Alfa Romeo 8C Competizione
 ギアボックスはシーケンシャルの6段セミATで、「Q-セレクト」と名づけられている。このシステムのおかげで、運転はきわめてイージー。マニュアルでのギアチェンジはステアリング・コラムに固定されたパドルでのみ行うが、自動変速もしてくれる。シフト時間を短くする「スポーツ」もある。ノーマルとの違いはたいしてない。であれば、スポーツを選ぶのが男というものだ。Q-セレクトは09年型マゼラーティ・グラントゥーリズモSのセミATほど速くもショック皆無でもないけれど、8Cのキャラクターには合っている。そんなにシフトが速くない。ちょっとゆったりしている。そこが味わいになっている。
 4.7リッターV8は最高出力450psを7000rpmで、最大トルク48.9kgmを4750rpmで発生する。全域トルキーで、大げさにいえばギアチェンジなんか必要ない。どこからでも分厚いトルクを生み出す。Q-セレクトはエンジンの変速機というより、変音機である。



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