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ロータス・エクシージS PPとヨーロッパ225、2台同時上陸。


Road Test: Lotus Exige S PP & Europa 225
Road Test: Lotus Exige S PP & Europa 225

PP:ロールは軽微。車重930kg。重量配分は前38:後62 というリア・ヘビー。新デザインのインパネと切り替え式トラコンが新しい。制動面ではAPレーシングの前4ポッド・キャリパーを採用。
225:ブレーキがドリルド・ディスクにグレードアップ。車重1000kgちょうど。重量配分は前36:後64。
2台とも足回りはノーマルと同じながら、破綻を来たさない。アルミ・バスタブ・シャシーの能力が高いということか。07年、エクシージにはカップ255という255psの限定版もあった。



ああ、エンスージアズム!



サーキット走行を意識したエクシージSには243psのPP(パフォーマンス・パック)が、
日常性能を意識したヨーロッパSには225psの225が新登場!
約1割のパワーアップは2台をどう変えたか?
文=今尾直樹(本誌) 写真=佐藤正勝



GT3RSがターゲット

 どちらに先に乗るべきか。先に乗ったほうにその後の価値観が支配される気がした。結局、私はより硬派のエクシージS PPのカギを選んだ。男は硬くなければイカン、という旧弊な考えに囚われているからだ。
 黄色と紫の2台を見て、私は花の蜜を探すハチのように黄色のPPの内部におさまる。1.8リッターの2ZZ-GE型4気筒はイートンM62型スーパーチャージャーの力を借り、新型インジェクターの採用などもあって、243ps/8000rpmと23.5kgm/5500rpmを発生する。ノーマル比、最大トルクは1.5kgm厚みをまし、最高出力は200rpmさらに回転数を増やすことで22psの過剰を得ている。車両価格は804万5500円で、ノーマルより75万円弱高いが、PPの充実はパワーだけではない。トルクの増大に合わせて強化クラッチが組み込まれ、足回りの変更はないものの、フロント・ブレーキのディスク径が288mmから308mmに大型化された。キャリパーは2ポッドから4ポッドに昇格。ローンチ・コントロールも付く。トラクション・コントロールは0から10%までスリップ率を変えることができる。メーカー発表の0-100km/h加速はノーマルよりコンマ壱秒速い4.2秒。これはナント、911GT3RSと同タイムである。最高速は245km/h止まりだが、筑波サーキットだったら1918万円のRSと同等の速さを誇るに違いない。
 実際に乗ってみると、エンジンの排気音が大きくなっていて存在感を増している。イギリスのスポーツカーっぽい。クラッチは重めで、ギア・シフトはカチリと決まる。これはいい! と思った。乗り心地は覚悟していたほどには硬くない。むしろ、しなやかに思えた。私が1年間担当していた長期リポート車のエクシージSはオプションのアジャスタブル・ダンパーが組み込まれていて、アジャスタブルだから好みの硬さに変えられるわけだが、メーカー推奨の設定はホントに硬かった。スーパーチャージド・トヨタ2ZZは低速からもう1枚上手のぶ厚いトルクを生み出す。3000rpmからスーパーチャージャー特有の金属音を発するのは同じだが、クルマ全体が年々よくなっている。
Road Test: Lotus Exige S PP & Europa 225



剛と柔にあらず

 海老名SAでヨーロッパ225に乗り換えた。クラッチを踏み、ギアを1速に入れると、なんじゃ、こりゃ、と思った。クラッチはスカスカに軽い。GM製の6段MTは節度がない。駆動系全体がユルい感じがする。走りはじめると、排気音がノーマルのヨーロッパSより野太くて、英国のスポーツカーっぽい。5400rpmで最高出力200psを発生していたGM製2リッターターボは毎分350回転上積みして名称通りの225psをしぼり出す。フラット型だったトルク特性はややピーキーになり、アクセル・ペダルをソロソロと踏んでいくとあるところで暴発する。大パワーのFFみたいにトルク変動でボディがギクシャクすることもある。もちろんターボ・ゾーンに入りっぱなしなら、このような現象は起きない。高速や山道は安心して飛ばせる。
 ヨーロッパ225に乗っているうちに、曖昧さの中にある節度感を身体がつかみ始める。乗り心地はハーシュネスを伝えない程度の硬さで、フラットな姿勢を終始保つ。英国の高級車みたいな乗り心地で、じつのところエクシージSにも似ている。
 ヨーロッパ225の車両価格は、豪華革内装のLXベースの場合、698万2500円の据え置き。じつは08年モデル以降、225が標準モデルにとって代わるのだ。日常性能重視のスポーツカー、といえど、パワーは商品力に欠かせない。
 パワーアップにより、一般道走行では2台とも快適性が増していた。力に余裕があると、なにかとラクチンなのだ。結局、2台は硬と軟、あるいは剛と柔で対立するものではなかった。ヨーロッパは最初は軟で柔かと思ったけれど、芯は硬かった。どちらも英国ノーフォーク州ヘセルのテロワール(土壌)が生んだ、「ロータス」としか呼びようのない果実で、ロータスならではの、世界で最もレーシング・カーに近い、これ以上純度の高いスポーツカーはないというレベルのスポーツカーであった。それも、私らフツウのひとが買える値段の。そこが世界中のロータス・ファンの共感を呼ぶところだ。


残雪の箱根の山道を駆け抜けるPP
残雪の箱根の山道を駆け抜けるPP。



(2008年5月号掲載)
 
 
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