ENGINE online/エンジン オンライン

ライバル対決篇 その(3) BMW750Li対メルセデス・ベンツS500L


BMW 750Li & MERCEDES-BENZ S500L/BMW 750Li & メルセデス・ベンツS500L
クリックすると拡大
(写真左)BMW 750Li
3速コーナリングする750Li。わずかにアンダーステア。
(写真右)MERCEDES-BENZ S500L/メルセデス・ベンツS500L
3速でのコーナリング。有能なESPがアンダーステアを打ち消す。



どっちがスポーツしているか?


昨年マイナー・チェンジされたBMWサルーンのフラッグシップ、7シリーズの
4.8リッター・モデルが、新型Sクラスの5.5リッター・モデルと、
大型ドライバーズ・サルーンとして渡り合った結果は?
文=鈴木正文(本誌) 写真=望月浩彦


そんなにスゴイのか

 昨年10月に上陸した新型Sクラスに興味津津だった。目下のところ日本向けSクラスのトップ・モデルであるS500Lについては、すでに本誌でも1月号と2月号でそれぞれムラカミ副編と鈴木亜久里さんが試乗記を書いており、いずれの評者も、その実力の高さには折り紙をつけていた。そんなにスゴイのか、とふたりの記事を読んでしばし嘆息、乗れるチャンスを待ち望んでいた。
 いっぽうの750Liも初試乗。こちらはニューSクラスよりひと足早く、昨年5月末から日本で発売されているマイナー・チェンジ版。ライバルの「W211」型Sクラスのデビューにそなえて、01年登場の「E65」型7シリーズをブラッシュアップしたものである。このE65型7シリーズのマーク2モデルについても、本誌05年6月号でムラカミ副編が、その出来ばえを賞讃するレポートを書いている。
 大型高級サルーンとして世界中で人気、実力ともにしのぎをけずるこの2台、いったいどっちがよりスゴイのか? スポーティになったともっぱら評判のSクラスにたいして、スポーツ・サルーンのメートル原器メーカー、BMWのヘヴィ級サルーンは、どんなたたかいぶりを示すのか、凍てつく箱根・伊豆を主舞台に1対1の比較テストをおこなった。


ドライバーズ・カーに見立てる

 S500Lも750Liも、ともにV8を搭載するロング・ホイールベース・モデルだから、運転手付きでリア・シートに乗るお偉方に十分な配慮をおこなったラグジュアリー・カーというのが本来の位置づけだ。しかし、ここでは特集テーマにひきつけて、あえてこの2台をドライバーズ・カーと見立ててのテストをおこなった。おどろいたことに、全長は5メートルを優にこえ、車重も2トン強にも達するこの2台、いずれもドライバーズ・カーとして、出色のパフォーマンスを秘めていた。
 最初に乗ったのはS500L。旧W210型より80mm伸びた3165mmのホイールベースのうえに、5205×1870×1485mmのボディが載り、車重は2060kg。前後マルチ・リンク式のサスペンションに、AIRマチックなるアダプティブ・ダンパー付きのエア・スプリングを組み合わせたハイテク・シャシーは、7段ATのC(コンフォート)、S(スポーツ)、M(マニュアル)の3種のシフト・モードと連動して減衰力、スプリング・レートを変化させる凝りようだ。ちなみに、シフト・モードを変えると、スロットル特性も変化する。
 90度V8は新世代のツインカム4バルブ・ヘッドの5461cc(98.0×90.5mmのボア×ストローク)で、387ps/6000rpmと54.0kgm/2800〜4800rpmを発生する。BMW750Liの4798cc(93×88.3mm)の90度DOHC4バルブは、ちなみに、367ps/6300rpm、49.9kgm/3400rpmと、最高出力、最大トルクともS500L用V8よりいくぶん低い。ついでに、750Liは全幅を除いて、サイズもSクラスよりわずかとはいえ小ぶりになる(5180×1900×1490mm)。3130mmのホイールベースもやや短いが、車重2140kgはS500Liより80kg重い。このへんに開発時期があたらしいSクラスの先進性が出ている。
MERCEDES-BENZ S500L
クリックすると拡大
 しかし、S500Lに乗り込んで最初に、これはどこかで見たことがあるとおもった。インテリアの基本造形が7シリーズそっくりだからだ。さらに、センター・トンネル上のi-Drive似の“コマンド・ダイアル”や、ステアリング・コラムから生えるATセレクター・レバーなど操作類のディテールの配置、デザインまで7シリーズとみまごうばかりだ。シート表皮のレザーをふくめてSクラスはより重厚、より金満家ふうになっているとはいえ、メルセデスがBMWの後を追うとは、とちょっと情けない気持ちにおそわれた。デザインでは逆に、BMWの先進性がはからずも裏書された。

MERCEDES-BENZ S500L
クリックすると拡大

MERCEDES-BENZ S500L
MERCEDES-BENZ S500L

750Liよりひときわ重厚なS500Lのキャビン。750Liよりニー・ルームは狭いが、絶対的にはすこしも狭くない。シートのクッション感は750Liよりややソフトで、サイズはより大きい。メーター類の主役は速度計で、その右に配された扇形の回転計はあまりみやすくない。インテリアの造形言語は750Liとうりふたつなのは、筆者にはショックだった。仕上げのクオリティ感はとても高い。

MERCEDES-BENZ S500L
S500Lのステアリング・コラムから生えたATセレクター・レバー(左)と、ナビゲーション等の車載装備をコントロールする“コマンド・システム”用のジョグ・ダイアル(右)。キイ・パッドは携帯電話用。


MERCEDES-BENZ S500L
MERCEDES-BENZ S500L

前後のサイクル・フェンダー風のホイール・アーチ、ウェスト・ラインの上に載せたようなリア・デッキは、それぞれアウディとBMWを彷彿させるデザイン。5.5リッターV8は387ps/6000rpmと54kgm/2800〜4800rpmを発生する。車重は2060kg。センター・コンソールにアナログ時計を埋め込んだのは新趣向。ジャガー・ルクルトばりのデザインだ。



前のページ
1
2
次のページ



page1 どっちがスポーツしているか?
page2 有徳大人

 
 
最新記事一覧
Driving Lesson
エンジン・ドライビング・レッスン
「エンジン・ドライビング・レッスン2017」の受講生募集を開始します。今年の開催は全3回…
ENGINE ROOM
エンジン・ドライビング…
エンジン・ドライビング・レッスン2019 受講生募集開始!!
ENGINE ROOM
ENGINE 2019年4月号
自動車用品からファッション、時計まで、ENGINE読者必見の新製品、新店舗、イベントなど耳より情報が…
NEWS
PSAのクルマ造りについて…
018年のパリ・モーターショウでドイツ・プレミアム御三家とともに多くのニューモデルを出展し、地元の…
NEWS
2019年から3ブランドで…
2018年のパリ・ショウで多くの電動化モデルを見せてきたPSA。その背景にはどのような問題が隠れている…
NEWS
ENGINE beat Music 2018…
ABBAのカバー・アルバムを発表したシェールと、トランプ政権を批判するアルバム『Walls』(壁)を作っ…
NEWS
ENGINE beat TRAVEL 2019…
10月に京都に開業した『ENSO ANGO』はコンセプトの異なる5つの棟で成り立つホテル。新しい発想で、京…
NEWS
レディー・ガガが映画に…
ポップス界のスーパースター、レディー・ガガが初主演した映画が、全米で大旋風を巻き起こしている。…
ENGINE ROOM
ENGINE 2019年4月号
今年もやりました! エンジン大試乗会!! 最新輸入車39台、ジャーナリスト28人が大集合。



バックナンバーページの定価表記について
「ENGINE 2014年3月号」以前の定価表記は、発売時の定価になっております。
予めご了承くださいますようお願い申しあげます。



▼クルマの取材ストーリー 最新5件
 作家、真山仁、F1シンガポール・グランプリを見に行く。
 マクラーレンが放った久々のロード・カー、MP4-12Cに英国・ダンスフォールドで乗る。
 ベントレー・コンチネンタルGT&GTCに加わったV8モデルに英国の本拠地、クルーで乗る。
 ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー・スピードとジャガーXJスーパースポーツ
 アウディS4 と ポルシェ・パナメーラ4S