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欧州フォードのベスト・セラー、フォード・フィエスタは、f分の1ゆらぎの風


FORD FIESTA/フォード・フィエスタ
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FORD FIESTA
フォード・フィエスタ1600ギア
全長×全幅×全高=3915×1685×1445mm。
ホイールベース=2485mm。車重=1130kg。 車両価格=195万8250円(消費税込み)。



FORD FIESTA/フォード・フィエスタ



ありそうでない、がある。


開発はイギリスとドイツ、生産はスペインで行われる、汎欧州小型車がニッポン上陸。
生産累計1000万台突破のカイブツ小型車の秘密とは……?
文=今尾直樹(本誌) 写真=柏田芳敬



ロック・ソリッド

 スペイン語で「祝祭」という意味のフィエスタは、1976年に初代がヨーロッパで発売されるや、3年で累計生産台数100万台を突破、5年で200万台、2001年には1000万台を達成した欧州フォードのベスト・セラー小型車。フォード初のエンジン横置きのFFハッチバックなのであった。今回、日本で発売となったのは、02年に登場した新世代で、マツダ・デミオとプラットフォームを共有していることは広島方面でつとに知られている。
 日本フォードが考え出したキャッチ・フレーズは、「ラテン・スピリット&ジャーマン・ヘッド」。ヨーロッパで100年近く活動しているフォードは、現在、ドイツのケルンとイギリスのロンドンに開発拠点を持っている。モンデオとフォーカスはケルン、フィエスタはロンドンで主に開発された。日本での試乗会のために来日したエンジニアも、イギリス人なのであった。生産はスペイン。ということで、フィエスタは英独西の3カ国にまたがる、文化的にどこの国とは特定できない、ヨーロッパとしかいいようのない小型車なのである。ですから私、この小型車の知的ニュアンスを、ちょっと前に流行った「f分の1ゆらぎの風」と呼んでみたわけです。
 全長4mを切るボディ・サイズは全幅、全高を含めて、ライバルのポロとほぼ同じ。駆動方式はフツーのFFで、日本仕様はデュラテックと呼ばれる1.6リッター4気筒DOHC、100psぽっきりのみ。装備の違いで2種類のグレードがあるが、試乗したのは高級版のGHIAで、価格は195万8250円(消費税込み)。197万4000円のポロ4ドアを睨んでの価格設定である。足回りは前ストラット、後ろトーションビームというこのクラスのスタンダード。
 乗ってみると、まずもってボディのしっかり感が印象的。先代比、曲げ剛性で100%、ねじり剛性で40%強化されている数値は、先代を知らないので置いておくとして、イギリスではこのクルマ、「ロック・ソリッド」というキャッチ・フレーズで売られているという。衝突安全性テストのユーロNCAPで4スターを獲得しているのもジマンだ。
FORD FIESTA/フォード・フィエスタ
(写真上)1.6リッター直は100ps/6000rpmと14.9kgm/4000rpm。
(写真下)175/65R14のエココンタクトEP。ギアはアルミが標準。
 それでいて、軽快感があるのが好ましい。鉄板が薄いのにボディ剛性が高い感じ。車重は1130kgと軽い部類ではないけれど、エンジンが1.6リッターと比較的大きめなことは見逃せない。アイシンAWの4ATは黒子に徹して存在が気にならない。じつはスロットルが「ドライブ・バイ・ワイヤ」化されていて、エンジン・マネージメントと最適制御されているのだ。
フツーにオシャレ

 エンジン音その他の騒音は大きめで、けっして静かなクルマではない。1500rpmも回っていると、デュラテックはうなりをあげる。ヨーロッパのベーシック・カーはこういうものだ。高速巡航は、耳が慣れてくることもあるのか、意外と静か。これもヨーロッパの小型車らしいところ。
 気になったのは、細かいことだが、オーディオが車速に応じて音量を自動的に変えること。5000rpmを超えると大きくなりすぎ。オーディオの方がうるさい。ボリュームは控えめに。あと、停止した直後の電動ファンの音のでかさにも驚いた。
 乗り心地は全体に硬め。タイヤが175の65と細身なこともあり、低速でもゴツゴツしないのは美点。
 山道では、エンジン音が大きいこともあって、元気に走る。舵がよく効くので、マニュアルだったら、もっとスポーティに感じられるだろう。モンデオ、フォーカス以来、「ファン・トゥ・ドライブ」は欧州フォードのウリになっている。フィエスタの場合、フォーカスにターゲットを置いて、グッド・ハンドリングとライディング・コンフォートを開発したという。なるほどフィエスタは、乗ってるうちに、こうジワジワと、「なかなかいいじゃん」と思えてくる、ちょっとシブめのファン・トゥ・ドライブがある。
 全長4m弱ながら、後席にもちゃんと大人ふたりが乗れ、荷物も積める。後席はダブル・フォールディングで、座面を上げると、鉄板剥き出しの、いかにもベーシックなクルマ感があるが、それが現実である。
FORD FIESTA/フォード・フィエスタ
(写真上)シンプルなインパネ。高めの着座位置で視界を確保。
(写真下)ギアはカーテン・エアバッグも標準。
 日本市場のユーザー・ターゲットは25〜34歳の女性だそうで、そのためにボディ・カラーを、廉価版のGLXと合わせて12色取り揃えた。写真はイメージ・カラーのフレアメタリック。高級版のGHIAの内装色はミディアムライトストーンと呼ばれるベージュ系のみで、なんてことないけれど、ありそうでない、フツーにオシャレな感じ、というのでしょうか。自分で書いてて思ったが、ありそうでない、フツーにオシャレなクルマだ、フォード・フィエスタ。
 これがベスト・セラーの秘密か?


FORD FIESTA/フォード・フィエスタ
(写真左から)ダッシュのトランク・オープナー。十分使える荷室。後席は6:4の分割可倒式。廉価版の1600GLXは177万9750円(消費税込み)。175/65R14のエココンタクトEP。ギアはアルミが標準。



(2004年6月号掲載)
 
 
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