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世界初のフル4シーター・メタルトップ・カブリオレ、プジョー307CC


PEUGEOT 307CC
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PEUGEOT 307CC


プジョー 307CCプレミアム
●FF/2.0リッター直4DOHC/4AT
●最高出力=137ps/6000rpm 最大トルク=19.4kgm/4100rpm
●全長×全幅×全高=4380×1760×1435mm ホイールベース2610mm 車重=1490kg
●車両本体価格=382万円



こころ揺さぶる魅力満載。これは欲しい!


ハッチバック、SW、ブレークと展開されてきたプジョー 307シリーズに、トップモデルの
“CC(クーペ・カブリオレ)”が追加された。スイッチ操作ひとつでクーペからカブリオレへと
鮮やかに変身する、スタイリッシュな4座オープンに沖縄で試乗した。
文=数藤 健(本誌) 写真=望月浩彦



ヒットの予感

 「これは買っちゃうでしょみなさん」
 外装をじっくり眺めた後、307CCのキャメル・カラーの革シートに腰を下ろす。直ちにメタルトップを全開にし、南国沖縄のあたたかな陽ざしを全身に浴びた瞬間の、直感。
 現代の消費者=生活者は、多少高価でも同じカテゴリーの他の商品より品質高く、センス良く魅力的であれば、多少無理をしてでも思わず買ってしまう。もちろん、お金持ちでない場合は、興味の薄い分野への出費は極力切りつめて。
 自分が特に好きな分野のモノやサーヴィスに触れるときは、こうしたワンランク上の消費へのアツい欲望は一段と強まる。スターバックス、ルイ・ヴィトン、ロレックス人気は、こうしたメリハリのある消費を繰り返す生活者が支えているのである。
 約400万円と決して安くはないこのクルマ、内外装のデザイン、カラーリングがじつにオシャレ。そして何といっても世界初のフル4シーター・メタルトップ・カブリオレだ。
 こんなクルマ、今までなかった。ことクルマ好き、新しモノ好きにかけては人後に落ちない筆者は、座って屋根を開けただけでもう参ってしまった。クルマを替えずに、クルマが変わる。これは欲しい!
 クーペ・カブリオレ(CC)の名を持つこのクルマの最大のウリは、約25秒で全開、全閉が可能な電動リトラクタブル・ルーフである。
 開閉はセンター・コンソール後方のスイッチ操作で行う。206CCと違い、ルーフ・ラッチのロック、アンロックまですべて自動で行われ、完了時には「ポーン」とチャイムが鳴る。なお、ルーフの開閉は時速10km/h以下なら走行中でも可能だ。
 家族持ち、子持ちにとっては、4座であることも大きな魅力ポイントになる。しかも実質2+2の206CCに対して、このクルマは後席もちゃんと実用になる。
PEUGEOT 307CC
(写真上)3グレード構成で価格は360万円(CC)〜410万円(CC S16)。
(写真下)「307」のバッジの「0」の中央を押してトランクを開ける。
 前席を身長173cmのドライバーの運転ポジションに合わせた場合、前席のバックレストに膝を触れずに、後席に座ることができる。ただし、屋根を閉じた状態でのヘッドルームはミニマム。背筋を伸ばすと、リア・ウインドウに後頭部が当たる。


PEUGEOT 307CC
ルーフ収納機構のために、リア・オーバーハングを307ハッチバック比で170mm延長、全高は95mm低い。屋根の開閉に要する時間は約25秒。


夢が広がる

 言うまでもないことだが、メタルトップは耐候性や耐久性、セキュリティ面でソフトトップより有利である。露天駐車の借り車庫族(筆者もそう) でも安心。こうした屋根の材質や座席の数が、意外に購入の最終決断の決め手になったりするもの。
 トランクは広い。クーペ状態で350リッター、カブリオレにしても、204リッターを確保。307ハッチバックの荷室容量は、5座状態だと341リッターだから立派なものだ。大人2人、子供2人でグランド・ツーリングに出かけようか、なんて夢が広がるクルマでもある。
 ボディカラーは全7色。特筆すべきはインテリア・カラーが4色あること。沖縄での試乗車はダッシュボードやドア・トリムにもレザーが貼られる「プレミアム」グレードで、内装色は306カブリオレにもあったブラウンの「パランブロ」仕様。外装のチャイナ・ブルーとのコンビネーションは、何とも美事であった。
 内装はこのほかブラック一色の「チタン」、レッドとブラックのコンビ「フュージョン」、ライトグレーの「ラマ」が設定されている。購入を決めた人は、ボディカラーとインテリアカラーの組み合わせ選択に、相当悩むことになりそうだ。


PEUGEOT 307CC/プジョー 307CC
(写真左)サイド・サポートの張り出した本革シートはホールド性抜群。
(写真中)大人4人が座れる。ただしオープン時の後席への風当たりは強め。
(写真左)ルーフ収納機構はメルセデスSLKのそれとほぼ共通。荷室は広い。


PEUGEOT 307CC/プジョー 307CC
(写真左)CCプレミアム以上のグレードは、ダッシュボードやドアトリムも本革。
(写真右)ホワイトメーターを全車標準装備。こちらの質感はいま一つ。


アツい走り

 走り出すと、冒頭の直感は実感、そして確信に変わった。
 同じエンジンを積むハッチバック(XS)より200kgも重い、1.5トンのAT車だから、フットワークにはあまり期待していなかった。が、走りも結構アツかった。
 着座位置、アイポイントはハッチバックより40mm低い。よって操縦感覚はスポーティだ。フロントおよびサイド・ウインドウがかなり寝かされていることもあり、クーペ状態のキャビン内は適度なタイト感がある。
 試乗ルートには山岳路も設定されていた。サスペンション・ストロークをタップリ取った足回りはしなやか。各部の補強やルーフ開閉機構により増加した車重に合わせてサスペンションが強化されているため、乗り心地は固めだ。しかし、不快な突き上げ感はない。
 印象的だったのはロード・ホールディングの良さ。タイト・コーナーでかなり追い込んでも、4輪はキッチリ路面を捕らえ続け、前輪はボディを前へ前へと進める。307CCはシリーズで初めてESP(横滑り防止装置)を搭載しているため、余裕をもってワインディング・ロードを楽しむことができた。
 ルーフを開けて走るとボディ/シャシー全体が適度にたわむので、乗り心地はさらによくなる。大きめの目地段差を通過する際にはさすがにスカットル・シェイクが出る。が、一般道を普通のペースで走る分にはボディの剛性感は十分だ。
 オープンにしたときの風じまいは良好。サイド・ウインドウを下ろして開放感を満喫しながら走る場合、運転席および助手席では約60km/hまで快適に会話が楽しめた。4枚のサイド・ウインドウを上げれば、高速道路での90km/h巡航もOK。
PEUGEOT 307CC/プジョー 307CC
(写真上)137ps/19.4kgmを発生する2リッター直4DOHCは高回転域までスムーズ。
(写真下)テールランプは、点灯応答性に優れるLED(発光ダイオード)。
 ただ、絶対的な出力は低いため、長い登りのセクションでは多少もどかしさを感じたことも事実。また、ルーフを開けた場合は、前輪にかかる荷重がクーペ状態の時より減るため、急坂で急加速するとトラクションがややヌケ気味になる傾向も。
 だがこの新しいCC、まなじりをつり上げて山道を飛ばす類のクルマじゃない。本格的にスポーツ・ドライビングを楽しむなら、177psのエンジンに5段MTを組み合わせる「S16」グレードを選ぶ手もある。
 屋根開き、キュートなルックス、豪華なインテリア、アツい走り……この流麗なクーペ・カブリオレは、クルマ好きのこころの琴線にビンビン触れるわかりやすい魅力に溢れている。これは平熱ではいられない!
 今年の入荷予定は2000台。すでにオーダーがかなり集まっており、色によってはウェイティング・リストが出来ているという。クルマに特別な欲望を抱いている方は、早めに決断したほうがいい。
PEUGEOT 307CC/プジョー 307CC



(2004年5月号掲載)
 
 
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