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フル・スカイアクティブ搭載のマツダCX-5。 注目はもちろんディーゼル・エンジン!


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MAZDA CX-5 XD


新時代の到来!


マツダが選んだ試乗コースは、九州の最南端にある指宿スカイライン。
日本屈指のワインディング・ロードで、CX- 5ディーゼルに乗った。
文=塩澤則浩(本誌) 写真=マツダ/小野一秋


 指宿スカイラインを試乗コースにするなんて、マツダも大胆なことをしたもんだ。舞台はなにしろブラインド・コーナーあり、超高速S字あり、アップ・ダウンありの壮絶なワインディングが延々と50kmも続く、日本屈指の超ロング&ワインディング・ロードである。
 正直に言おう。CX-5はそんな指宿スカイラインを嬉々として走ることが出来るクルマだ。生半可なクルマだと走ることを途中で放棄したくなるような過酷で長い道のりを、攻めの姿勢で一気に走ってなおかつ清々しささえ残った。
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ひと言で表現すれば、気持ちがいい、という言葉がピッタリ来る。それは乗り味の違いこそあれ、ガソリンでもディーゼルでも2駆でも4駆でも基本的には同じである。そのためにマツダがしたことは、クルマ作りの原点に立ち返ることだったという。
 たとえば、ドライビング・ポジション。現代のクルマ作りの現場で優先されるのは効率だ。それは作業効率であったり、空間効率であったり、コストの効率であったりするけれど、マツダは、優先すべきは人間という考えでゼロから設計に取り組んだ。 その結果、ペダル・レイアウトの邪魔になるホイール・ハウスは前方に押しやられ、ステアリングの中心軸とピタリと正対したシートに座って自然に足を伸ばした先にペダルが並ぶ。アクセル・ペダルはコストより踏み易さを優先したオルガン式である。さらに、良好な視界が確保できるようにAピラーの位置を決め、ドア・ミラーの形状も検証し直した。 こうした運転環境の改善は、ゼロ発想で立ち上げたスカイアクティブ・シャシーの賜物でもある。地味だけれど、気持ち良く運転するためには大事な要素であることは間違いない。


世界一低い圧縮比の14.0を実現したコモンレール式クリーン・ディーゼル・エンジン。欧州のユーロ6、日本のポスト新長期規制を尿素を使った後処理無しでクリアする。内装の質感は上々だが、色が黒しか選べないのが残念。外観は今後のマツダの全車に採用される「鼓動」デザインを初採用。タイヤは225/65R17が標準だが、上級グレードのLパッケージは19インチを履く。


4リッターV8並みの最大トルク

 走ってみれば、スカイアクティブ・ディーゼルの気持ち良さは格別だ。 42.8kgmという自然吸気の4リッターV8並みの最大トルクを発生するのはわずか2000rpmだから、アクセルをほんの少し踏み込んだだけでもそのトルキーさは十分に実感できる。街中を普通に走る分にはほとんどの場合、2000rpm以下でこと足りてしまうのだからたいしたもので、豊かなトルクに身を任せてスルスルと走るのは実に気持ちがいい。
でも、もっといいのはエイッとアクセルを踏み込んだときだ。 14という世界一低い圧縮比の恩恵で静々と回っていたエンジンが、一気に獰猛な獣に変身するのだ。排気音も演出されているのだろう、勇ましいバリトンはとてもディーゼルのものとは思えない。 ガソリン・エンジンと違って低めとは言え、メーター上のレヴリミットの5200rpmを超えて5400rpm近くまで回るのには驚いた。最高出力は175psだけれど、ロックアップの領域を広めた新開発の6段ATのおかげもあって、加速もレスポンスも望外に鋭い。
 気持ちがいいのはエンジンだけではない。指宿スカイラインの連続するコーナーのひとつひとつを滑らかに走る身のこなしは快感ですらある。 ステアリングを切り始めてからコーナリングを終了するまでの一連の挙動にギクシャクするようなところは一切なく、操舵に対する応答遅れも感じない。決してキビキビしているわけではないが、操作とクルマの動きがしっとりとひとつに重なったフィーリングは、本能的に「気持ちがいい」と思えるものだ。
 そんなディーゼルとガソリンの走りの違いは、車重の違いによるところが大きい。ディーゼルの4駆は1610kgで、ガソリンの4駆は1510kg。ガソリンの2駆にいたっては1440kgだから、その差は最大で170kgもある。軽快感を重視するならお勧めはガソリンの前輪駆動だ。自然吸気の2リッターは155psだが、排気系に4-2-1といういわゆるタコ足をはじめて採用したこともあり、中低速のトルクも増している。 とは言え、力強さでは断然ディーゼルに分がある。怒涛のトルクと高回転の気持ち良さ、そして好燃費。マツダ渾身のエンジンの魅力は、ガソリンよりも約40万円高いエクストラ・コストを払う価値が間違いなくある。ハイブリッドばかりが幅をきかす日本のエコ・カー市場は、走っても楽しいCX-5ディーゼルの登場で新たな時代に突入するはずだ。


  
 マツダCX-5 XD
駆動方式フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高4540×1840×1705mm
ホイールベース2700mm
車両重量1610kg
エンジン形式水冷直列4気筒DOHC直噴ターボ・ディーゼル
総排気量2188cc
ボア×ストローク86.0×94.2mm
最高出力175ps/4500rpm
最大トルク42.8kgm/2000rpm
変速機6段AT
サスペンション形式(前)マクファーソン・ストラット
サスペンション形式(後)マルチリンク
ブレーキ前/後通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後225/65R17
車両本体価格279万円(Lパッケージは319万円)



(2012年7月号掲載)
 
 
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