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2台の最新パナメーラ、SハイブリッドとターボSに乗る。


PORSCHE PANAMERA/ポルシェ パナメーラ
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PORSCHE PANAMERA



草食系で行くか、肉食系で行くか。


知的なSハイブリッドとマッスルなターボS、注目の2台の最新パナメーラが日本初上陸!
文=塩澤則浩(本誌) 写真=望月浩彦



 いまやスポーツカー・メーカーといえども環境に配慮しなければ生き残れない時代である。そこでポルシェが選択した方法のひとつが、ハイブリッドの導入だ。その第1弾となったカイエンSハイブリッドに続き、今度はパナメーラSハイブリッドが上陸した。アウディ製の3リッターV6スーパーチャージャーに続いて、クラッチ、電気モーター、8段ATを一列に並べたドライブ・ユニットは基本的にカイエンSハイブリッドと同じで、システム全体の最高出力が380ps、最大トルクが59.2kgmという数値も変わらない。ただし、カイエンが4WDであるのに対してパナメーラは後輪駆動を採用する。
 乗ってまず驚くのは走り出しだ。アクセル・ペダルを踏みこむとスルスルと動き出す。わかっていても“無音のポルシェ”には少々面食らう。85km/hまでならモーターだけで2km走れることになっているが、街中をあえてモーターだけで走ろうとすると我慢が必要だ。モーターの出力はたかだか47psだから、純電気自動車の日産リーフ(109ps)のように力強くは走らない。アクセルのオン・オフを頻繁に行う都内の交通状況で流れに乗ろうとすれば、エンジンはスタート&ストップを常に繰り返すことになる。しかし、モーターとエンジンの連携はたいしたもので、そんな場合でもギクシャクすることがまったくないのに感心した。
PORSCHE PANAMERA/ポルシェ パナメーラ
 パナメーラSハイブリッドが最も燃費を稼ぐのは、ドライバーがアクセル・ペダルを緩め、駆動力を必要とせずに惰性で走るような場合だ。このコースティング・モードに入ると、エンジンは自動的に止まり、完全に駆動系から切り離され、その間はモーターが回生を行う。
 フツーのエコ・カーなら燃費が向上すると、つい嬉しくなって草食系的運転になったりするけれど、パナメーラSハイブリッドの場合はちょっと違う。実は、肉食系的要素も秘めていて、実際、箱根のワインディングに持ち込むと、走りはけっこう痛快だった。380psとは思えないほど力強く、コーナーでは軽快とまではいかないけれど、以前乗ったV8の4WDモデルと比べて鼻先が軽い印象で、気持ちいいドライビングが楽しめた。パナメーラSハイブリッドのエコは、我慢するエコではない。燃費コンシャスな草食系を装いながら、その実、スポーツカー・メーカーとしてポルシェが持つ肉食系のDNAを秘めているのだ。


獰猛な野獣ではない

 一方、ターボSは掛け値なしに肉食系だ。まずパワーが凄い。4.8リッターV8に装着されるタービンの排気側の羽根車をスチールからチタニウムとアルミニウムの合金製に変更するなど、実に細かい作業を積み上げて50psアップの550psを実現している。トルクも76.5kgmとすさまじく、さらにオーバーブースト作動時には81.2kgmにまで跳ね上がる。
 可変ダンパーのPASMをスポーツにして箱根を走ったが、あまりの速さに、いつもより遙かに早く次のコーナーが迫ってくるのに戸惑った。ロールを制御するPDCCや電子制御式のリア・ディフも標準で装備しているが、いくらコーナーで頑張ってみても私ごときの腕では、その持てる能力を十分に引き出すところまではとても行かない。前が255、後ろが295という太さの4輪にしっかりトラクションがかかり、コーナーのたびにひたすら強烈な横Gに耐え続けるしかなかった。スポーツ・モードでこれだから、さらにアグレッシブなスポーツ・プラスは推して知るべしである。
 しかし、いちばん驚いたのはコンフォート・モードの乗り心地の良さだった。しっとりしていながらほど良く硬くしなやかで、高速道路でも箱根のワインディングでも十分スポーティなこのモードが、正直に言って私にはもっともしっくり来た。550馬力と聞けば、ついつい獰猛な野獣を想像してしまうが、実は、強靭でしなやかな筋肉を持つ真のアスリートだったのだ。

PORSCHE PANAMERA/ポルシェ パナメーラ

PORSCHE PANAMERA/ポルシェ パナメーラ
パナメーラSハイブリッドが搭載する3リッタ−V6スーパーチャージャーはアウディ製だ。メーター内にはハイブリッド専用のエネルギー・フローを示すディスプレイや、モーターの作動状態を確認できるアナログ式の電力計が備わる。リア・ゲートとドア・ミラーの下にはHybridのエンブレムが付く。価格は1483万円。

PORSCHE PANAMERA/ポルシェ パナメーラ

PORSCHE PANAMERA/ポルシェ パナメーラ
パナメーラ・ターボSの最大の注目点は、ターボ比50psアップされた550psの4.8リッターV8ツイン・ターボだ。ターボ・チャージャーの排気側の羽根車はチタン/アルミ合金化され、その重さは従来のスチール製より約50%軽量化されている。ターボとの外観上の違いはわずかで、サイド・スカートやリア・スポイラーがボディと同色化されているほか、リア・トレッドが5mm拡大されている。室内ではシフト・パドル付きの3本スポーク・ステアリングが目を惹く。これは無償オプションだ。そのほか電子制御でダンパーをコントロールするポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント(PASM)やロールを未然に防ぐポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール(PDCC)など、シリーズのトップ・モデルだけあって、ほかのモデルではオプション扱いの装備のほとんどを標準装備する。ただし、試乗車のポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキはオプションだ。価格は2481万円。



(2011年12月号掲載)
 
 
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