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14年ぶりに復活したメルセデスのミド・サイズ・クーペ、日本上陸。


MERSEDES-BENZ E-Class coupe/メルセデス・ベンツE350クーペ
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MERSEDES-BENZ E-Class coupe


誰も真似できない乗り味。


新たに生まれ変わったEクラス・セダンに続き、今度はW124以来、
3世代ぶりに復活したEクラス・クーペが日本に上陸した。
ハンドリングと乗り心地を両立させたと謳う新型クーペの走りはどうか。
文=村上 政(本誌) 写真=柏田芳敬



 最近のメルセデス・ベンツのデザインには、独特の凄みがある。たとえば、昨年デビューした小型SUVのGLK。あの武骨な角張ったデザインは、フツウに言ったら間違いなくカッコ悪い部類に入ると思うのだけれど、あまりに確信犯的な自信に満ち満ちているがゆえに、見ているうちに実はクールでカッコいいのではないかと思えてくる。
 六本木のミッドタウンでファッション・ショウもからめた派手な発表会をおこなった新型Eクラス・クーペも、そうだ。こちらはフツウに見てカッコ悪いわけではないからGLKとは意味合いが異なっているけれど、しかしどこかで通底する斬新かつ自信に満ちたデザインを持っており、イタリアの最新モードと対峙しても決して負けない独特の凄みをあたりに発散していると思った。
 今回、富士の麓で行なわれた試乗会に赴き、改めて太陽の下で眺めても、その印象は変わらなかった。
 とにかく、押し出しが強い。新型Eクラス・セダンにも共通するくっきりとした面構えは、ここ数世代のEクラスの印象を一気に彼方へと吹き飛ばしてしまうくらいに強烈だ。そして印象的なドーム型のルーフ・ライン。Bピラーのないサイド・ウインドウが、その美しさをほどよく引き立てている。もうひとつ印象的なのが、SクラスやEクラス・セダンにも共通する50年代のポントン・メルセデスからの引用だというリア・フェンダーの膨らみで、これまた独特の凄みを醸しだすのに、大いに貢献していると思った。
 このデザインは何にも似ていない。誰が見てもメルセデス・ベンツとわかる潔さがある。その割り切りに、凄みの源泉があるのではないか。

MERSEDES-BENZ E-Class coupe/メルセデス・ベンツE350クーペ
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MERSEDES-BENZ E-Class coupe



遅れて4気筒モデルも登場
 さて、その新型Eクラス・クーペのラインナップは目下のところ2種類。3.5リッターV6を積むE350クーペと5.5リッターV8のE550クーペだが、年内にも新しい直噴1.8リッター直4ターボCGIユニットを積んだモデルが上陸する予定だという。
 まず、最初に乗ったのはE350クーペ。シートはセダンとは違ったスポーツ・タイプで、サイド部が張り出しており、着座位置も低めで、運転席に着いた瞬間からスポーティな気分になる。内装はセダンと基本的に同じデザインだが、ステアリングのスポークが3本になるなど、随所にクーペならではの演出が施されている。乗車定員は4名。リア・シートは左右が完全に独立し、前席同様のサイド・サポートがつく。頭上はやや窮屈なものの足元は広く、大人ふたりがくつろぐことができる。
MERSEDES-BENZ E-Class coupe
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MERSEDES-BENZ E-Class coupe
 走り出してすぐに伝わってきたのは、メルセデスならではのとろけるような柔らかな感触である。セダンより足回りを固めたスポーティなクーペといっても、跳ねるような硬さとは無縁で、あくまでもメルセデス流のスポーティさを追求していることがわかる。サスペンションのストロークもたっぷりと取ってあり、当たりは常に柔らかだ。ステアリングは最近のスポーティ・クーペとしては驚くほど軽めで、遊びもそこそこ大きく、最初はちょっと戸惑ったくらいだ。でも、やがて馴染んでくると、このおおらかな感触がすこぶる気持ち良く、やみつきになる。
メルセデス・ベンツE350クーペ
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MERSEDES-BENZ E-Class coupe
 まだ直噴化されていないエンジンも、十分なパワーとトルクを持ってはいるが、目の覚めるような存在感を発揮するわけではなく、黙ってしっかり仕事しているタイプだ。ほどほどのスポーティさがメルセデス流、だなんて嘯いていたら、やがてワインディングに入ると、その秘めたるポテンシャルの高さに瞠目させられることになった。とにかく、こんなに悠然としたクルマが、連続するコーナーを驚くほどスポーティに駆け抜けていくのだ。V6は鼻先が意外に軽く、ターン・インが容易だ。そこからステアリングを戻しながらアクセレレーターをジワジワッと入れてやると、少しリアをググッと振り出しながら、実にきれいに立ち上がっていく。お見事、と拍手したくなるような気持ちのいい走りだ。
MERSEDES-BENZ E-Class coupe/メルセデス・ベンツE350クーペ
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MERSEDES-BENZ E-Class coupe
 次に乗ったE550には、スポーツ・モードも選べる電子制御ダンパーやギア比が13.5というクイックなステアリングを含むダイナミック・ハンドリング・パッケージが標準装備されていた。ステアリングも重めの設定だし、V8はもの凄いトルクで、とにかく速い。しかし、同じワインディングを走ってみると、鼻先が重くターン・インが難しい上に、立ち上がりでも大トルクが災いして、あまり気持ちよく走れないことがわかった。これは高速道路をズバーンとどこまでも飛ばしたい人向きだ。
 というわけで、私が気に入ったのはE350クーペの方だ。とろけるような柔らかさとスポーティな走りの両立は、誰も真似できないメルセデス流の味付けと言うしかない。4気筒モデルの登場も今から楽しみだ。
MERSEDES-BENZ E-Class coupe/メルセデス・ベンツE350クーペ
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MERSEDES-BENZ E-Class coupe
MERSEDES-BENZ E-Class coupe
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(写真上)パラジウム・シルバーはE350クーペ
(写真左)カルサイル・ホワイトはE550クーペ。内装とエンジンはE350クーペのもので、オプションのラグジュアリー・パッケージ仕様。シフト・パドル付きの本革巻ウッド・ステアリングやシフト・ノブ、シート・ベンチレーターが奢られる。E350クーペのスペックは表を参照のこと。
E550クーペは最高出力=387ps/6000rpm、最大トルク=54.0kgm/2800-4800rpmの5.5リッターV8DOHCユニットを搭載。車重=1730kg。タイヤ・サイズは前235/40R18、後255/35R18。車両本体価格=1095万円。


   
 メルセデス・ベンツE350クーペ
駆動方式エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高4705×1785×1395mm
ホイールベース2760mm
車両重量1670kg
エンジン形式V型6気筒DOHC
排気量3497cc
ボア×ストローク92.9×86.0mm
最高出力272ps/6000rpm
最大トルク35.7kgm/2400-5000rpm
トランスミッション7段AT
サスペンション形式 前3リンク/コイル
サスペンション形式 後マルチリンク/コイル
ブレーキ前後 ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ235/45R17
車両本体価格860万円



(2009年10月号掲載)
 
 
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