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NISMOクラブスポーツパッケージを公道で試す!


NISMO GT-R
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NISMO GT-R


箱根ターンパイクを3速でコーナリングをする。バネ・レートを上げたサスペンションゆえ、公道で試せる範囲ではロールは事実上皆無で、弱アンダーステアが一貫する。



豪腕紳士だった。


「スペックV」の発表も近いとうわさされるなか、
546万円のNISMOパッケージ付きGT-Rに公道で乗った!
文=鈴木正文(本誌) 写真=小野一秋



 近所のガソリン・スタンドで満タン・洗車して、東京・大森のNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の、通りに面したメインの建物裏にある事務所棟前の通路に、テスト車をとめた。昭和っぽい引き戸をガラガラと開けて「NISMOクラブスポーツパッケージ」を返却にきました、と中にいた中年男性に声をかける。ほどなくして連絡を受けた担当者がきて、テスト車を保管場所に移動することになった。担当者は中年男性に、「じゃあ、移動おねがいします」という。
 中年男性は、びっくりして目を丸くした。GT-Rを動かしたことがないから、遠慮したいという。「大丈夫ですよ」と、意に介さない担当者。中年男性は、クルマに歩み寄り、しかたないけどまんざらでもない、といった困り顔ながらうれしげでもある表情を浮かべてドア・レバーを引き、「こんな高いクルマ、緊張するなあ」とつぶやいた。
 まことに。ベースのGT-Rがもっとも安いスペックで777万円。それに (1)強化シャシー (2)カーボン・バケット・シート (3)チタン・エキゾースト・システム(専用ディフューザー付き)の3点セットから成る「クラブスポーツパッケージ」を付加すると、工賃込みでプラス546万円が乗り、1323万円になる。NISMOクラブスポーツパッケージ付きGT-Rは、現段階で最高性能・最高価格のGT-Rであり、NISMOの人が一瞬怯んだのも無理ない。


NISMO GT-R
NISMO GT-R
スペックVとノーマルのあいだ

 GT-Rには近々、ノーマル・スペックよりいちだんと高性能な「スペックV」なるヴァージョンが追加されることは周知の通り。価格などの重要情報は未公表だけれど、この「NISMOクラブスポーツパッケージ」は、「標準仕様とスペックV仕様の中間に位置する」(水野和敏チーフ・ビークル・エンジニア)とされる。おもうに、ノーマル車とスペックV車との性能ギャップがあり過ぎる、ということなのかもしれない。という揣摩臆測はともかく、水野さんによれば、ノーマル車を「もう少しスポーツに振ったグレード」として、具体的には、GT-Rの日本での開発基地である仙台ハイランドレースウェイにおいて、ノーマル車比1秒以上速いラップタイムをたたき出すべく開発されたという。とはいえ、サーキット専用車のようなものとしてではなく、高速道路をふくむ一般道においても日常的に使用可能なチューニングになっているという。
レカロ製のカーボンシェル・シートには赤糸によるスティッチが施され、上質感も高い
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レカロ製のカーボンシェル・シートには赤糸によるスティッチが施され、上質感も高い。
 強化シャシーは (1)ダンパーと (2)スプリングをいずれも硬めて、 (3)20インチの鍛造アルミ・ホイールに新開発のブリヂストン製タイヤ(フロント255/40、リア285/35)を装着したもの。このさい、ダンパーの3段階モード(コンフォート、ノーマル、レース=R)のうち、Rの減衰力が強化された。
 サーキットにおけるNISMOクラブスポーツの印象については、すでに2号前に鈴木亜久里さんによるリポートがあり、ノーマル・モデルよりもいっそうコントロール性が高まったことが称賛された。ならば、一般道テストでの焦点は、山道でのスポーツ・ドライビングをふくむ日常の用途で、どの程度ドライバー・フレンドリーなクルマになっているか、ということでなければならない。

より上等

 うれしいことに、NISMOクラブスポーツは、08年型のGT-Rよりずっと「上等感」の強いクルマだった。いちばんの理由は、強化サスペンションにあるのだとおもう。スプリング・レートが高められているのに、よほどの悪路でないかぎり、路面への追従性がノーマルより高い、つまり、空荷のトラック的にハネたり弾んだりすることがほとんどない。1.4〜1.6kg軽量化されたレイズ製の鍛造ホイールと新開発タイヤのセットがもたらす乗り心地が角張っていない。そして、デュアル・クラッチ・トランスミッションのマナーも、当初のGT-Rのような発進時にうっかりスロットルを踏みすぎると出現した荒々しさが、ほとんど観察されなくなっていた。
 箱根はセミ・ウェットで、理想的とはいえない条件ながら、限界をさぐりつつ次第により高いコーナリング・スピードを探求していくのは、苦痛というよりもよろこびだった。チタンのエキゾーストのせいか、よりハジけた硬い感じの排気音もエキサイティングだ。また、ノーマル比1脚あたり6kg軽いという、ソフトなレザーを張ったレカロ製のカーボンシェル・シートは絶対のオススメだ。フィット感が抜群にいい。
 480psのツイン・ターボV6をレヴ・リミットの7000まで使い切ってドライブすると、その走りの力強さ、ボディ/シャシーの異様な剛体感は感動ものだ。NISMOクラブスポーツは、ヤンチャ系ではない。GT-Rを豪腕紳士にした。


レイズ製の20インチ鍛造ホイールはガンメタリック・カラーにペイントされる
レイズ製の20インチ鍛造ホイールはガンメタリック・カラーにペイントされる。
フロントでノーマル比マイナス1.6kg、リアでおなじくマイナス1.4kg
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フロントでノーマル比マイナス1.6kg、リアでおなじくマイナス1.4kg。ツイン・オーバルのチタン合金エキゾースト・システムは、専用リア・ディフューザーとセットで搭載される。冷却フィンが追加され、重量はノーマル比でマイナス5kg。サウンドは硬質になった。



(2009年2月号掲載)
 
 
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