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ついに日本上陸したメルセデス・ベンツSクラスで日光まで


MERCEDES-BENZ S500L
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MERCEDES-BENZ S500L



もっか世界最高のサルーン。


7年ぶりにフルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツの旗艦、Sクラス。
スタイル、中身ともにアグレッシブに進化した8代目に国内初試乗した。
文=村上 政(本誌) 写真=柏田芳敬



 アルピナの旅から1週間後、今度は日本上陸したばかりのメルセデス・ベンツSクラスに、いち早く試乗する機会を得た。当面、日本に入ってくる新型Sクラスは、3.5リッターV6を積むS350、5.5リッターV8のS500とそのロングホイールベース版の3モデル。そのうち、今回試乗がかなったのは、現時点での最上級モデルにあたるS500Lだ。
 走行距離500kmあまりのほとんどまっさらな新車をダイムラー・クライスラー日本で借り受け、夕暮れの街に乗り出した途端、これは素晴らしくデキのいいクルマだと直感し、数10m走った時には、新型Sクラスのとろけそうな柔らかさと滑らかさに早くもメロメロになっていた。
 こんなに当たりの柔らかいクルマ、見たことない。ステアリングの操舵感もサスペンションの動きもエンジンの回転フィールも、すべてがウルトラ・スムーズ。そして、ボディの動きは驚くほどフラット、かつドッシリとした重厚感を持っている。
 アルピナも凄かったが、これはまた別の凄さがある。似ている面もあるけれど、方向性がまったく違う。アルピナは湿り気のあるしっとり感が最大の魅力で、そこにスポーティな味付けが濃厚に施してある。対するSクラスは、どこまでもソフトでラグジュアリー。お肉で言えば、フィレとサーロインの違い、か。
 たとえば、目地段差を超えた時、結構突き上げはあるが、動きが一発で止まるのがアルピナ。一方、トンと小さな音だけ残して、まるで何事もなかったかのように駆け抜けていくのがSクラスだ。
MERCEDES-BENZ S500L/メルセデス・ベンツ S500L
(上)新開発の5.5リッターV8は387ps/54.0kgmのパワー&トルクを発生。
(下)アダプティプ・ダンパーのおかげでロールは必要最小限に。
 しかし、それは決してSが退屈なクルマであることを意味しない。ステアリングを切り込んで行った時のノーズの動きは、先代までとは比べものにならないほどシャープになり、ラグジュアリーな中にもスポーティな感覚がある。
 というわけで、最初の晩の短いドライブだけで、私はすっかり新型Sの虜になってしまったのである。

大胆なサイドとリアの造形

 翌日の早朝、まずは都内某所で置き撮り。冷たく澄んだ空気の中でまじまじと眺めて、新型Sがこれまでとはまったく違うデザイン言語でつくられていることを確認した。
 シャープになった顔つきもさることながら、これまでと明らかに違っているのは、サイドとリアの造形の大胆さだ。50年代のメルセデス・サルーンの典型的なスタイルを想起させる大きく張り出した前後のフェンダー・フレアや盛り上がったトランク・リッドが、クラシカルな雰囲気を醸し出す一方で、流れるようなルーフ・ラインやサイド・ウインドウのドーム型のグラフィックスは、CLSにも似た極めてモダンな感覚を強調している。
 ボディ・サイズは、ロングホイールベース版で全長が40mm、全幅が15mm、全高が40mm拡大した5075×1870×1485mm。とりわけホイールベースが80mmも長い3035mmになったことが、新型Sにマイバッハの面影をも与えていると思った。
旧型からインパネのデザインを一新
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旧型からインパネのデザインを一新。新しいロジックで構成される。高級感、使い勝手とも満点の出来だ。
 いずれにせよ、これまでは考えられなかったアグレッシブなデザインが採用され、Sクラスは筋肉たくましく若々しい姿に生まれ変わった。
 そして、外観のみならず、内装も大きな変化を遂げている。インパネのデザインを一新し、まったく新しいロジックを取り入れているのだ。その中核となるのが、BMWのiドライブにも似た、コマンド・システムだ。ダッシュボード中央に設置された8インチ・カラー・ディスプレイを見ながら、ダイヤル式のコントローラーを操作することで、ナビやオーディオの設定ができる。これまでシフト・レバーが占めていた場所をコントローラーが奪い、BMW7シリーズ同様、シフト・レバーはステアリング・コラム脇に移動した。
 さらに、Sクラスでは、メーターパネルの中央にも、8インチの液晶ディスプレイが設置されており、その画面には、大きなアナログ式の速度計が画像表示されている。メーターの円の内側には、様々な車両情報が表示されるほか、オプションのナイト・ヴュー・アシストを装備すれば、そこに赤外線カメラの映像を映し出すこともできる。
 一方、速度計の左側にある小ぶりな回転計は本物の針のついたアナログ表示で、この配置や大小の関係は従来とまったく変わらない。回転計はやや見にくいが、あまり見る必要がないから十分だということか。その辺が、速度計と回転計が同格になったCクラスやAクラス、新しいMクラスと違うところだ。
メルセデス・ベンツ S500L
(上)ロングは柔らかなセミアニリン・レザーを使ったシートを標準装備。
(下)広い後席は最高に贅沢な空間。シートのリクライニング機能も充実。
 ダーク・ウォールナット・ウッドを使った内装は、オシャレではないが、高級感、使い勝手ともに満点の出来だ。ライトを点灯すると、ウッドの下にオレンジ色の間接照明が室内を取り囲むように光って、ゴージャスな雰囲気を醸しだす。センターコンソール中央に置かれるスクエアなアナログ式時計も美しい。アルミを使ったスイッチ類のタッチもよく吟味されており、全体的にクラシックでありながら機能的で、モダンな感覚も取り入れたものになっている。


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