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アストン・マーティン・ラピードは、期待を遥かに超える出来栄えだった!


ASTON MARTIN RAPIDE/アストン・マーティン・ラピード
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ASTON MARTIN RAPIDE
1913年に創立されたアストン・マーティンにとってラピードは、その96年の歴史のなかで初の4ドアスポーツカーとなる。誰が見ても“クーペ”としかいいようがない流麗なスタイルが美しい。

アストン・マーティン・ラピード
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ASTON MARTIN RAPIDE
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走りも麗しい


アストン・マーティンの歴史上初の4ドア・スポーツカー、ラピードがついに完成して、
試乗する機会がやってきた。
果たして、それは見目麗しい姿にふさわしい俊馬だった。
文=齋藤浩之(本誌) 写真=アストン・マーティン・ラゴンダ・リミテッド


 「イングリッシュ・ウェザーになってなんだか申し訳ないね」と、本社広報のキム・パーマーは笑った。
 1月の半ば、英国ウォリックシャー州ゲイドンにアストン・マーティン本社を訪ね、これからいよいよラピードに乗れるというのに、早朝から冷たいシャワーが降り注いでいた。
 約束の朝一番に本社に着いて玄関に連なる大ホールで最新のアストンを見較べていると、キムは「すぐ製品開発部長のイアン・ミナーズが来るから、ここで待っていてくれ」と言って、小部屋に案内してくれた。そこに、完成したラピードがあった。
 2009年の晩夏にフランクフルト・モーターショウで正式発表された後、仕様確定作業に忙しかったアストン・マーティンはメディアを呼んで、未だ内装が完成していないプロトタイプに同乗走行の機会を与え、貪欲にフィード・バックを集めた。本誌からは副編の村上がそこに馳せ参じて報告をお届けしたから、ご記憶のことと思う。あれから4カ月。最後の開発成果が、いま目の前にあるラピードに織り込まれている。
 ほどなく部屋に現れた長身の製品開発部長は、にこやかな笑みをたたえながら、挨拶もほどほどに、ラピードの説明にとりかかった。
「われわれはこの数カ月の間に徹底的に詰めの開発を行ったんですよ」と切り出したミナーズ氏の説明は、簡にして要を得たものだった。
ASTON MARTIN RAPIDE/アストン・マーティン・ラピード
ブレーキにはアストンとして初めてブレンボのデュアル・キャスト・ローターが採用され、バネ下重量を軽減している。
 大きな弧を描く美しいサイド・ウィンドウは、リア・ドアのガラスがBピラーを覆って隠すようになっている。フレーム・レス構造のウィンドウだから、300km/hを超える最高速度を誇るラピードでは、十分なシーリング性能を達成するのが難しい。前後のドア・ガラスの接合部分もそうだが、ルーフとガラスの密着度も高める必要がある。ドアの開閉時、ガラスは数mm自動的に下がってボディ側シール材との干渉を避ける。近年のサッシュレス・ウィンドウのクルマでは当たり前の措置だけれど、ラピードでは走り出すとさらに数mmガラスが上がってシールにくい込み、万全の密閉度を得られるように工夫が凝らされているという。
 説明しながらミナーズ氏が後席のドアを開けた瞬間、僕は思わず吸い込まれそうになった。目が釘付けになった。美しい! 手の込んだ製造工程を経ているだろうことが一目瞭然のスタイリッシュなリア・シートは、話を遮ってすぐにそこへ座ってみたいという気持ちにさせた。すると、優に190cmを超えるミナーズ氏は自ら身体を折りたたんで、何の苦もなさそうにスルリと乗り込んだ。
 すぐさま同じように易々と降りてきたミナーズ氏の表情は自信満々だ。
「ラピードはほんとうの4座なのです。広々というわけにはいかないけれど、身体のどこかが窮屈な思いをすることのないように、念を入れて完成させました」と、目を輝かせる。
ASTON MARTIN RAPIDE/アストン・マーティン・ラピード
昨年9月の正式発表以後も細かな設計変更を加え、荷室容量は317リッター(DB9の1.8倍)まで拡大された。後席背もたれ上部を前倒しすると、886リッターまで拡大される。
「シート形状も何度も変更しました。リアにトランスアクスルの変速機が収まるのでスペース的には苦しいのですが、レカロと協力して構造に工夫を重ね、満足のゆくものになりました。ほらここを見てください。Bピラー根元の室内側を抉ってあるでしょう。これで、つま先の出し入れも楽になりました」と、まるで子供自慢を聞かされているかのようだ。
「どうぞご自身で試してください」と言われたときには、僕の身体はスルリと収まっていた。ほんとうだ。
 この心地よさときたらどうだろう。まるでフロントのそれのように本格的なバケット形状をしたシートの掛け心地は、後席が+2のオマけではないことを雄弁に語りかけてくる。目の前の前席バックレストに埋め込まれた液晶モニターに映る、疾駆するラピードの姿に見入っていると、「オプションでこの後席エンターテインメント・システムも組み込めます。子供がお気に入りのアニメを見ながら、という使い方もできるのですよ。音がうるさかったら、セットしてあるヘッドフォンを使わせればいい。ラピードなら家族皆でアストンに乗ることができる。私自身も楽しみで仕方ないんです」といって、ミナーズ氏が微笑んだ。
「荷室もさらに使いやすいものになりました。燃料タンクの形状を変更して容量を増やしたし、荷室を室内と仕切るための可倒式ボードも加えました。後席の頭の部分はスイッチひとつで倒れ、荷室の床面とフラットにつながります。ゴルフ・バッグは横にでも縦にでも積めます。シートを倒さなくとも4人ぶんのスキーを積むことだってできるのです」


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