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リチウムイオン電池搭載のEVを2010年に発売。


NISSAN LEAF/日産 リーフ
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電気自動車でハイブリッドに待ったをかけた日産。
EV専用車、リーフを発表!



本社の移転と時を合わせて、日産が次世代の切り札を発表した。
純電気自動車のリーフがそれだ。日本での発売は来年中という。
文=斎藤浩之(本誌) 写真=望月浩彦



 トリノ出張の帰り、パリ発の深夜便で帰国して成田に降り立ち、われ先にとパス・コントロールを目指すと、同じ便のファースト・クラスから先に出たカルロス・ゴーン社長に出くわした。翌々日に控えた日産自動車の新しいグローバル本社ビルの完成竣工式に駆けつけたのだ。
 横浜みなとみらいの新社屋のその竣工式では、日産自動車の切り札ともいうべき、新開発量産市販型電気自動車も発表された。それが、来春、米国で先行発売され、来年中に日本でも発売されるCセグメント・カーの「リーフ」である。
 リーフ=葉という車名は、二酸化炭素を同化する植物のようにありたいという願いを込めての命名という。
 リーフがこれまでの電気自動車=EVと決定的に異なっているのは、ズバリ、生産規模である。大量生産によってコスト低減を図り、同クラスのガソリン自動車並みの価格を実現しようというのだ。これを大前提に日産は既存の内燃機関乗用車の派生型ではなく、白紙から電動専用車を開発。それがリーフなのだ。
 薄膜状のセルを積層してパッキングした新開発リチウムイオン・バッテリー・モジュールを、これまた専用に開発されたEV専用プラットフォームの床下に電池専用キャリー・フレームを使って多数搭載する。パワートレインは短いノーズ内に余裕をもって収まっている。2次電池を抱えるキャリアは、ロの字型の強固なそれ自体が電池を保護する役目を果たすのに加えて、キャリア全体がホイールベース内に収まるため、衝突時の破損によるリチウム電池のリスク回避は万全だという。
 Cセグメント・カーは全長4.2m強が主流となっているが、このサイズのクルマに搭載可能な電池容量は、200Vで満充電に8時間(100Vでは倍の16時間)かかる。この容量(約90kW超)で可能な走行距離は160km(US・LA4モード時)という。途中充電なしでもフリーウェイを使った片道50〜60kmの通勤に使用可能という想定のようだ。急速充電を行えば、30分で容量80%回復が可能というから、充電インフラさえ整えば、現実的な運用時の走行距離はもっと長く想定できる。
 リーフがCセグメント・カーとして開発されたのは、Bセグメント・カーの伸張著しい欧州を除けば、依然として世界の乗用車需要の主役をCセグメント・カーが担っている状況に加えて、電池容量を十分に確保するには未だBセグメント・カーでは難しいからである。もちろん、わが世の春を謳歌するプリウスやインサイト、さらにその向こうにはゴルフの存在も見据えてのものではないか。「EVもやってます」ではなく、これが本気で普及を目指したものであることを、なによりよく物語る証左ともいえるだろう。
 じじつ、日産はEV専用ラインを追浜工場に設けて、リーフを年産5万台規模でスタートさせ、ゆくゆくはその総生産台数をワールド・ワイドで年産15〜20万台の規模にまでもっていきたいと考えているらしい。そして、2次電池を車輌本体とは別のリース契約とすることで、電池寿命とその回収の問題をクリアしながら、実質的な新車車輌購入費用を、平均的なCセグメント・カー、たとえばティーダと変わらない範囲に収めることが可能になったという。
 電池のリース代と充電にかかる電気代をあわせた費用は、同クラス・ガソリンの燃料代よりも確実に安くなるはずだというから、運用時のゼロ・エミッション化だけでなく、現実的な運用コストでも、ハイブリッド・カーを最大のライバルとして想定していることが想像される。
 日本では横浜市が積極的に充電インフラの敷設に協力するということも明言されており、われわれが思うよりもずっと早く、電動実用車が街を走る日がやってきそうである。


リーフの給油口ならぬ充電用ソケット
(写真左)リーフの給油口ならぬ充電用ソケット。鼻先の小さなリッドを開けると、100Vと200Vの接続口が並んでいる。充電所要時間は200Vなら半分。

NISSAN LEAF/日産 リーフ

NISSAN LEAF/日産 リーフ
来春の米国先行発売に向けてクルマそのものは準備完了であることをものがたる先行試作車。事実上、このままの姿と内容でわれわれも来秋以降に手にすることになる。最も嵩張る2次電池はすべて床下に収められるので、フロア高が少し高めなこと以外は、慣れ親しんだ2ボックス・カーそのものという感じだ。当然、後席背後の荷室も普通に容量が確保されている。発熱量の大きい内燃機関が排除されたことで、冷却気主導入口は小さくて済むため、顔つきもこれまでとは少し違う。おちょぼ口の魚を連想させるところもある。インテリアは奇をてらわないシンプルなもの。計器類は表示面積をおさえたデジタル式。航続距離は約160kmというから、一般的な通勤用途などには十分というべきか。





NISSAN LEAF/日産 リーフ
リーフの中身をもった実験車に試乗。運転容易にして走行感覚は楽しい。
恒例となった先進技術説明会では、リーフに使われるそのもののEV専用新開発プラットフォームに、現行ティーダの上屋を便宜的に被せたプロトタイプに試乗することができた。電源をオン、あとは普通のATと同じイージー・オペレーションでOK。これまでの内燃機関自動車に慣れ親しんだ人間に違和感を覚えさせず、それでいてスムーズ至極の、新時代のクルマをドライブしている実感があった。とくに低速域での力強さと滑らかさは新鮮な印象で、感動といっていいほど。緻密な制御系開発の賜物と、日産の技術者は教えてくれた。

家庭以外で使われることになる充電スタンドの例
(左)家庭以外で使われることになる充電スタンドの例。これにはまだ課金システムは未組み込み。(右)リーフの肝となる新開発EV専用プラットフォーム。








(2009年10月号掲載)
 
 
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