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3代目へとフル・モデルチェンジした日産キューブに乗る


NISSAN CUBE/日産 キューブ
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日産キューブ15XVセレクション
ボディ色は写真の“クラフトダンボール”など10色、内装色はフェザーグレー(写真)、グラファイト、ラウンジブラウンの3色を用意。全長×全幅×全高=3890×1695×1650mm。車重=1190kg。1.5リッター直4は最高出力109ps/6000rpm、最大トルク15.1kgm/4400rpmを発生。15XVセレクションの価格は170万1000円。カーウイングスナビゲーション(地デジ内蔵、HDD方式)、バックビューモニター、ステアリング・スイッチ、ETCユニットは30万9750円のセットオプション。






世界へ翔け、ジャパン・オリジナル!


2代目のユニークなコンセプトが海外で高く評価され、新型の輸出が決まったキューブ。
室内の居心地、乗り味はどうなのか? 横浜で行われた試乗会からの報告。
文=数藤健(本誌) 写真=小林俊樹



キープ・コンセプト

 2009年夏にみなとみらい地区に本社を完全移転する日産のお膝元、横浜赤レンガ倉庫で新型キューブの撮影をしていると、ベビーカーを押した若い夫婦やカップルが入れかわり立ちかわり近づいてきた。「新型ですね」「立派になった」「いくらですか」と第1声はさまざま。でも「コレ何てクルマですか」とは1度も聞かれなかった。5年で51万台以上を売るヒット作となった旧型から、コンパクトで四角いフォルムと左右非対称バックドアを継承した新型は、ひと目でキューブだとわかる。「この顔ちょっと怖いかも」とコメントした女性に「サングラスをかけたブルドッグみたいでしょ」と返したら「いえてる!」と爆笑された。
NISSAN CUBE/日産 キューブ
 キープ・コンセプトだが、新型はひと回り大きくなった。旧型比で全長は160mm、全幅は25mm、ホイールベースは100mm伸びている。その結果、室内は格段に広くなった。身長174cmの私が運転席に座ったポジションのまま後席に座ると、背もたれと膝の間にコブシが2個半入る。ヘッドルームも余裕タップリ。天井と頭の間にコブシが前席は3個、後席は2個半入る。
 特筆すべきは室内の質感の高さ。縫製シートは座面のクッションと背もたれがぶ厚く、センター・アームレストもフーガのそれのように大きい。前席の座面下にはS字状のスプリングが入っており、かけ心地はまさにソファのようだ。緩やかに湾曲しているインパネは助手席の前が凹んでいて、前席は開放感にあふれる。
 開放感を一段と高めるのが、オプションのガラスルーフ。前席からの視界に常に空が入ってくる。障子から着想を得た“SHOJIシェード”を閉めれば、柔らかな光が室内に差し込む。スピーカーや天井のルームランプ周辺、カップホルダーの底などには波紋状のデザインが施されている。旧型のキャッチコピーは「キューブ・マイルーム」だった。新型は和風デザイナーズ・ホテルの角部屋、といった趣きに進化している。
フランス車ふうの乗り味

 キューブのパワートレインは、旧型やマーチ、ティーダなどと基本的に共通の1.5リッター直4+CVTという組み合わせのみだ。コラム・シフトでDレインジを選び、軽めのアクセレレーターを踏み込む。出足はいい。丁寧なアクセルワークを心がければ、ドライバーの意図よりエンジン回転数の上昇が遅れるといったCVTのクセは出ず、ダイレクト感溢れる加速が味わえる。
 乗り心地もいい。当たりがやわらかく、ゆったりおっとりしており、FM横浜を聴きながらソファのようなシートに座って街中を流れに乗って運転しているとなかなか和む。
NISSAN CUBE/日産 キューブ
奇しくもイーグルスの「Peacefuleasyfeeling」が流れてきたが、まさにそんな運転感覚だ。
 スピードを出す気にならないクルマだが、トバすとどうなのかを確かめるために、ちょっとしたワインディングも走った。ロールは大きめだが、コーナー内側の前輪は路面をしっかり捉え続けクルマを前に進める。ハンドリングもいい。重心高の高さをほとんど意識させず、スイスイとコーナーに飛び込み、ドライバーの意思どおりに曲がっていく。フランス車みたい――トバしながら、編集部のルノー・カングーを思った。あとで開発担当者に聞くと、ルノー・モデュスやプジョー207の乗り味やハンドリングを参考にしたとのこと。
 新型キューブは2009年春に北米で、秋には欧州で発売される。旧型のデザインや、クルマを“部屋”と捉えるコンセプトが欧米のジャーナリストに好評だったことや、並行輸入して乗る海外ユーザーが結構いたことが輸出開始の決め手になった。海外でも売るから、というわけではないだろうが、新型は全体的に旧型よりしっかり作り込みがなされている印象を受けた。
 GT-Rとは別の手法で日産は“ジャパン・オリジナル”を深化させ、個性的かつ魅力的なクルマを創った。アキバ文化が受け入れられたように、ブス可愛い新型キューブは欧米でも人気を博すのではないだろうか。


NISSAN CUBE/日産 キューブ
室内のデザインはジャグジーをモチーフにし、“誰もが心地よく、4人が平等に和める空間”を目指した。ポケット、フック、トレイ、カップホルダーが随所にある。ガラスルーフにつくSHOJIシェードには、和紙に近い風合いを出すために不織布を使用。完全に遮光するためのロールブラインドも備える。最小回転半径は、クラストップの4.6m。



(2009年2月号掲載)
 
 
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