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スカイライン・クーペ発進。18インチ仕様と19インチ仕様はどう違う?


スカイライン・クーペ 370GT
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日産 スカイラインクーペ 370GT
クーペに搭載されるエンジンはVQ37VHRと呼ばれる3.7リッターV6のみ。日産がVVELと呼ぶバルブ作動角・リフト量連続可変システムが組み込まれている。BMWに始まったスロットルバルブ・レスを実現する機構の日産独自開発版である。自然吸気の3696ccから333ps/7000rpm、37.0kgm/5200rpmを搾り出す。変速機は6段マニュアルとパドル・シフター付き5段オートマティック。モデル構成は、標準車、タイプP、タイプS、タイプSPの4種類で、SとSPにのみ6MTの選択肢が用意される。駆動方式は後2輪駆動式のみの設定となる。車輌価格は370GT(AT)の369.6万円から370GTタイプSP・AT仕様の447.3万円まで。






タイプPもなかなかいい。


新しいスカイライン・クーペが正式発表され、試乗の機会を得た。
2種類用意されるシャシー仕様の違いはどのようなものなのか?
文=齋藤浩之(本誌) 写真=小野一秋



 スカイライン・クーペはどのようなクルマあるいは存在なのか、ということは編集長による別稿をお読みいただければよくわかる。というわけで、ここでは、新型スカイライン・クーペに2種類用意されるシャシー・セットアップの違いを中心に話を進めたい。
 現行V36型スカイラインと並行して開発が進められた新型クーペは、セダンのアーキテクチャーを直接のベースとしている。アウターパネルを総て専用設計してクーペ・ボディを構築しているクーペはしかも、見た目だけでなく、中身にも手が加えられている。
スカイライン・クーペ 370GT
 セダン比で全高は5mm低いに過ぎないが、サスペンション・リンク長は伸ばされ、これに伴いワイド・トレッド化(前+10mm/後+20mm)、エンジン搭載位置が15mm低められたのと相まって、運動性能に直接影響を及ぼす物理的資質は大幅に優れたものとなっているのである。その結果、サスペンションはよりしなやかにセットアップすることが可能になり、これは乗り心地の印象をも穏やかなものへと変化させている。
 セダンのタイプS、タイプSPはソリッドなカート・ライクな身のこなしが特徴的なクルマだが、それと同じタイヤを使うクーペ(標準車とタイプP)は、走り出しの数メートルでその差を体感できるほどに、当たりが優しい。
スカイライン・クーペ 370GT
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19インチ・タイヤを使う、よりスポーティな仕様のタイプSとタイプSPであっても、セダンのそれらよりしなやかな感触がある。重心位置低下とワイド・トレッド化によって、同じロール剛性を得るのに必要なスプリングレートが下がっているからだ。と同時に、アームの延長でジオメトリーの動的変化が少なくなっているので、動きやすくなった脚にネガが伴う心配もない。柔らかければ、左右の荷重移動速度も下がるから、そもそもロール・モーメントが小さくなっているクーペはさらに、乗りやすくなるという寸法だ。まさに、いいことずくめなのである。


18インチと19インチ、どちらもいい。

 スタンダード・サスペンション(18インチ)とスポーツ・サスペンション(19インチ)、それぞれに乗り心地はいい。タウン・スピードから山道をちょっと速めのペースで走るぐらいまでのところで前者には適度な緩さがあり、終始、リラックスしていられる。後者にその緩さはないが、脚がよく動くので、アクティブ・ステアリングの介入による舵角変化速度の速さにもさして気を尖らせる必要がない。これもセダンのスポーツ・サスペンション付きに比べて、穏やかな気持ちでいられる時間が長い。
 アクティブ・ステアリングそのものの介入制御プログラムが継続的な開発作業によってこなれてきたのも要因だろう。とくにリアの介入がより黒子的なものとなっているように感じた。前輪のそれはもう少し介入が控えめになればさらにいい、というのが試乗を終えての率直な感想だった。とはいっても、ここまでこなれてくれば、アクティブ・ステアリングの意義も積極的に認めていいように思う。
 どちらの仕様もそれぞれに説得力に富み、しかも、それらが互いにかけ離れた味付けではなく、接近したなかでの味わいの違いといってもいいものになっているのが、新型クーペのいいとろではないかと思う。


スカイライン・クーペ 370GT
左側のペアはタイプSP、右側はタイプP。タイプSとタイプSPはよりスポーティなシャシーを与えられる。タイヤは19インチ仕様となり、ブレーキも大容量化される。アクティブ・ステアリングも標準装備する。標準車とタイプPのタイヤは18インチ。アクティブ・ステアリングの設定はなし。またタイプPとタイプSP(上級トリム仕様)にのみ本木目+本皮革シートがオプション設定される。



18インチも見た目で引けを取ることはない

 シャシー・セットアップの違いはエクステリア・デザインで識別できるようになっている。これはセダンの場合と同じだが、クーペでは、スタンダード・サスペンション付きのモデルは上の写真のクルマ(タイプP)のようにバンパー下部の開口部が左右2分割、スポーツ・サスペンションの場合は170頁の写真のクルマ(タイプSP)のように3分割の造形となる。18インチでもホイール径は視覚的に小さく感じることはなく、ダイナミックな印象を与えるものになっているから、見た目で19インチを優先したくなることはない。
 新型スカイライン・クーペはかなりの力作である。



(2007年12月号掲載)
 
 
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